ホンダ シビック タイプR(FL5)、納車から1,000㎞走りました。
前回慣らしだったタイプRもいよいよ全開!その時の体験も含め、このクルマについてわかってきたことを書いていきたいと思います。
納車直後のレビューは下記です。
ホンダ シビック タイプR(FL5)、ポルシェ乗りによる納車当日、初ドライブインプレッション
購入を決めた際の試乗については下記についてまとめてあります。
【試乗】ホンダ シビック タイプR(FL5)、購入に至った試乗を振り返る
ポルシェ 718ボクスターとの詳細比較は下記:
【比較】ポルシェ 718ボクスター vs ホンダ シビック タイプR(第1回) 2台の相違点と意外な共通点
【比較】ポルシェ 718ボクスター vs ホンダ シビック タイプR(第2回) ワインディング編:サラブレッドと下町ファイターが対決!
ついに禁断のべた踏み!
前回、納車直後のインプレッションで、慣らしのため4,000回転までしか回していない、と書きました。
本当は2,000㎞くらいその調子でいこうと思ったのですが、待ちきれず。
べた踏みしてみました!(小声)
誰でしょう、↓こんなことを書いていた人は。。。
ブレーキから曲がり、加速する動作も非常にスムーズ。コンソールゲーム「グランツーリスモ7」では、ここでアクセルを不意に踏むと強烈なトルクステアに悩まされるのですが(笑)、実車でハーフスロットルにした限りでは、そんな片りんも見せることなくオンザレールで加速していきます。
が、、、
こ、怖い!!
はい、怖いのです。2速からべた踏みしてもホイールスピンしそう(なのでアクセルを緩めてしまいました)。
動画を載せておきます。車が微妙に揺れていること、コーナー侵入手前でアクセルを完全に離しているため動きがぎくしゃくしているのがわかります。(わざと低回転からの加速をさせたいというのもなくはないですが)
VSA(ビークルスタビリティアシスト=車両挙動安定化制御システム)が忙しく作動して、なんとかグリップしようとしています。左前輪、右前輪それぞれトルクのかかり方が目まぐるしく変わっています。それでいて何とかまっすぐ走ろうと一生懸命制御している。。。
制御は本当に緻密で頭が下がる思い。でも、それをもってしてもクルマが暴れるのはいかんともしがたいようでした。
FF(前輪駆動)のスポーツカーは初めてだったので、ものすごく新鮮な体験でした。
超ハイテクなスポーツカー
驚きの連続
先ほどの加速時の制御もそうですが、このクルマ、初試乗の時から驚きの連続です。
過去の記事から引用します。
秋の夕暮れの時間帯、道路は混雑しています。もうのろのろ運転。それでも全然クラッチを踏んでいるのが苦になりません。めちゃいいやん!
【試乗】ホンダ シビック タイプR(FL5)、購入に至った試乗を振り返る
納車直後レビューでは、こんなことも言っています。
ハンドルを切っても同様。デュアルアクシスストラットサスペンション(キングピン(転舵軸)とストラット(入力軸)が分かれたタイプのもの。タイプR専用)のおかげなのか、多少路面が荒れていても進路を乱されることがほとんどありません。
ホンダ シビック タイプR(FL5)、ポルシェ乗りによる納車当日、初ドライブインプレッション
特に、すごく気になっていたのは不整路での動き。轍などにハンドルが全然取られないのです。
ポルシェ 718ボクスター GTS 4.0に乗り換えて同じところを走ると、かなりハンドルがとられて、しかもクルマも動いていることが確認できました。
これはなんかあるぞ?!
FL5は「超有能な秘書」だった
そう、シビックタイプRに初めて乗った時から、ポルシェ 718ボクスターと似たような、ボディ骨格のしっかり感や路面へのダイレクトなコンタクト、ダイレクトな操縦感覚があるなぁと思う一方、何か決定的に違うなぁという部分も感じていたのです。
ポルシェは、いわば完璧な道具。
クルマと人との対話は下記のようです。カッコ内はクルマの独り言を想定しています。

(君はそういう運転をしたいのね。)了解。その通りにうごかすよ。
(ああ、路面荒れてるのでちょっとアクセル踏みすぎ、危ないぞ。)ちゃんと危ないぞって伝えるぞ。次どうする?
そうそう、そうだよね、アクセル緩めたな。
(おいおい、緩め方急だよ。)でも、挙動が急にならないように、サスペンションの設計含めて抜かりないから大丈夫。ダンパーもちゃんと仕事しとくよ。
お、いい感じに回転運動に入ったぞ。そうそう上手。
(おい、そこでまたアクセルラフに踏むか。下手だなぁ。)アクセルね、仕方ないな、わかったよ。さすがにトラクションコントロールだけは効かせるよ。
対するシビックタイプRは、例えるとこんな感じ。

速く走りたいのですね。ご自由に。
(このコーナー、荒れてますね。ちょっと準備しとこう。)
はい、大丈夫です。私が何とかしますから。何なら私が路面均しにいきますから。
(荒れた路面、来ましたね。ダンパーここは縮み側減衰力抜いてください。でもEPS(電動パワーステアリング)、あなたはハンドルとられないようアシストして!ここで急ハンドルの入力ですか。アクセルちょっと抜いて左前輪ちょっとブレーキするようお願いします。)
ドライバー:なんかあった?
いいえ、大丈夫です。いつもの通りですから。
ドライバー:俺、なんか運転うまくね?
(違うんだけどな。)
・・・これが仕事ですから。
ポルシェはドライバーの動作に忠実に応えてくれる道具。一方、タイプRはドライバーの意思通りになるよう、裏方でいろんな仕事をしているのにそれを見せずにサポートしてくれる、有能な秘書のようです。
走っていて、この違いは感じたものの何がそうしているのかわからず悶々としていました。
「超有能な秘書」は意図的に作られていた!
いろいろ調べてみると、
「ドライバビリティーフィルター」
という耳慣れない言葉を発見しました(プレス資料のアクセルレスポンスの項)。
ドライバーの操作(ステア、アクセル、ブレーキなど)をそのまま車両に反映させるのではなく、クルマ側が「意図をくみ取って」最適な応答を返すためのインテリジェントな中間処理層(フィルター)、とでもいうのでしょうか。
ドライバーがこうしたい、と思ったら、クルマ側はその要求に忠実に応じるだけでなく、「それならクルマをこのように制御してあげればいいだろう」と積極的に車両制御を行い、逆に意図しないようなノイズは識別して排除する。ユーザへのフィードバックにおいても取捨選択して必要なものだけ返してあげる、そんな考えなんだろうと思います。
「すべては、速く気持ちよく走るために(裏でいろいろやっておく)」みたいな感じか。
どうもここに、FL5のユニークなポイントが隠されていたようです。

コーナーリング中に起こっていること
具体的な車両制御の例が、プレス資料にも載っていました。
「コーナーリングアクションマネジメント」という項です。
ロール / ピッチ連成制御として、「操舵に対して遅れなく前後 / 左右の加重移動が追従。さらにばね下加速度も加えた連成制御を実現」と書かれています。
・・・ちょっと難しい。

これは電子制御ダンパーに関する記述(だけ)ですが、個人的にはきっとこんなことをやっているのではないかと思いました。ブレーキからターンインのところだけですが。素人による理解なのでかなりの程度間違っているかもしれません。
- ブレーキ入力を感知
- ドライバーからの入力ありましたー。ブレーキかけます。
- ブレーキ操作に対する加重移動
- ダンパー:はい、了解。4輪の減衰力制御しております。
- ドライバーによる操舵を感知、EPSによるアシスト開始
- EPSのトルクセンサー:ステアリングからの入力を検知しました。舵角、舵角操作速度は○○です。これはドライバーからの入力なのでアシスト入ります。制御マップどうぞ。
- EPSの制御マップ:はいよー。これくらいの反力返してあげてちょうだい。
- ダンパーによる荷重制御
- G(ヨーG、ロールG、ピッチG)検知してます。前後・左右4輪とも独立に減衰力調整しておりまーす。
- アジャイルハンドリングアシストによる内輪ブレーキ
- はい、私も仕事ね。内輪ちょっとブレーキつまむね。
- 路面の段差・うねり・斜度変化を「上下G」としてサスのバネ下センサーが感知
- なんだ左前輪の瞬間的な上向きの加速度は?これはドライバーの意図ではないぞ。段差を踏んだな!
- ダンパーの減衰力をリアルタイム制御して不整路対応
- これは車体姿勢に影響を与えないようにしないといけないな。任せとけ!縮み側は弱めて突き上げをいなして、伸び側は強めて揺れを収束させるぞ!
- EPSとの同期、EPSによるリアルタイム不整路対応
- トルクセンサー:ステアリングのねじれを検出しました!(周波数成分やトルク変動の速度を解析して)これは直前のステアリング操作と違ってドライバーの意図ではなく、不整路でハンドルを取られているだけ(ノイズ)です!
- ドライバーがそのままハンドルを保持しているのに、ノイズの入力方向は逆なので、戻されちゃうな(ハンドルを「取られる」)。ちょっと戻る力と反対方向にトルク加えて、保持をアシストしてあげよう。
- VSA(ビークルスタビリティアシスト)との同期(どうしても必要な時)
- ちょっと左前輪グリップ抜けてるな。じゃぁちょっとスロットルカットしておこう。まだあかんかな?じゃ、右前輪軽くブレーキかけます。
こんな制御を1000分の何秒かで連続して行っているんじゃないかなと思います。

気が遠くなりそうですが、そんなこんなで安定したコーナーリングが実現できているんだと思うと妙に納得です。
「超有能な秘書」っぷりは随所にみられる
今みたいな不整路での制御だけでなく、いろんなところでこの「ドライバビリティーフィルター」という考え方に基づく制御(=「超有能な秘書」による制御)が行われているようです。
| シーン | 制御例 |
| アクセル操作 | スロットルマップの最初の踏み始めの「すっ」と出る感覚、「リニア」に感じられる中間加速制御。アクセルを戻したときの追従性 |
| シフト操作 | シフトショックが出ないように回転数調整(レブマッチに限らず?)。エンストしそうになると回転数を上げてアシスト、など |
| ハンドル操作 | ドライバーが気持ち良いと感じられるようにEPSが反力を調整(「軸力フィードバック制御」。たぶんこういう制御じゃないかという推測も入ってます) |
これもそうかも?と探りながら運転するのも楽しいかもしれません!

小まとめ:積極的な車両制御がFL5の真骨頂?
初めての試乗からずっと感じてきた、シビック タイプR(FL5)の「圧倒的な運転のしやすさ」や「現代的な乗り味」。
(じつは免許取りたての息子も、レガシィS401の後にこのクルマを試運転して、「なんかすごい運転しやすいね」と言ってました。)

その裏にはこのような積極的な車両制御技術があったことがわかりました。
ホンダは、こうした制御技術を使って、「運転が上手くなる」と感じられるようなクルマを作ってきているなぁと思います。こうした電子制御などのハイテクを使って課題解決をしてくるところは、とてもホンダらしい、と思いました。
一方で例えばスバル(正確にはSTI)も「運転が世界一上手くなるクルマ」を掲げています。が、そのアプローチは「フレキシブルパフォーマンスホイール」など、機械的なものが多い印象。あくまでも、クルマの素性を良くすること、機械として素直に動くようにすること、に注力しているように思います。
どのメーカーも、目指すところは同じでもそのアプローチに違いがみられてとても面白いと感じました。
※すでにこうした車両制御は”当たり前”になりつつあるようですが、私が乗ってきた車はあまりそういった制御を積極的にしてこない車や世代の古い車なので、FL5に乗って度肝を抜かれた、ということを白状しておきます。
閑話休題。車内環境等
今回はだいぶ偏った内容になってしまいました。気を取り直して、車内にご案内しましょう。
まず、ステアリングホイール回り。アルカンターラ巻のホイールはいい感触ですが、手入れしないとどうなるのか心配です。ステアリングホイールスイッチの質感はちょっといまいち。

前方視界。とても良いです。

左斜め前。なかなか良い視界。Aピラーの形状も工夫されています。

右斜め前。こちらもとても良い。

後方。ちょっと撮影位置が悪かったのですが、バックミラーにはウィングが映らないよう工夫されています。

シート。ちょっと恥ずかしいですがホールドは良い。

メーター。+Rモード時のもの。

センターディスプレイ。取付位置の高さは工夫されています。映り込みもないよう表面が工夫されているようです。

エアコンパネル。物理ダイヤルで使いやすいです。そしてポルシェと同様、デフロスターはすぐ効く。こういうところにも隙がありません。

後席。これがリア2座のシート。

ちなみに真ん中に座って前を見たところ。座れませんが。。。

エクステリア
つるんとしたボディ
近寄ると、かなりつるんとしたクルマであることがわかります。空力の塊みたいです。
洗車の時にまじまじと見てしまいました。

エアアウトレットの部分もほとんど凹凸なし。

段差がほとんどありません。

ここも。

つるんとしています。


空力パーツも。


エンジンその他
やっぱりみたいですよねぇ、エンジン。

フロントタイヤ。

アメリカ製です。

クルマを眺める
ちょっと引いてみましょう。
うーん、やっぱりデカい。もう一回りコンパクトだったらなぁ。。。


まとめ

1,000㎞走り、とにかく走るためのクルマだなぁと思いつつ、安定して走れるようにこんないろんなことをしているのか、という発見のあった2か月でした。「ハイパーカーみたい」という漠然としたイメージは、こうした車両制御技術による「ありえないような」安定性から来ていたのかもしれません。
しっかりした骨格のクルマで無駄な動きがない、すごく良くできた道具みたい、という意味ではポルシェ 718ボクスター GTS 4.0と似ているところもあります。が、こうした車両制御の考え方には異なる面もみられました。
本当にクルマって面白いなぁと思う今日この頃です。

【比較】ポルシェ 718ボクスター vs ホンダ シビック タイプR(第1回) 2台の相違点と意外な共通点
【比較】ポルシェ 718ボクスター vs ホンダ シビック タイプR(第2回) ワインディング編:サラブレッドと下町ファイターが対決!










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