先月のホンダ シビック タイプR(FL5)に続き、日産 フェアレディZ(RZ34)も納車から1年経ちました。
定期点検の結果と、1年経過して思ったことをまとめておきます。心境の変化を徒然なるままに綴ります。
日産 フェアレディZ:点検時の走行距離
| 納車時 | 7 |
| 今回(2026年2月)点検時 | 2,241 |
| 年走行距離 | 2,234 |
先月点検を終えたシビック タイプRとほぼ同じ(タイプRは2,297㎞)。別に図ったわけではありませんが、ほぼ同じになりました。だいたい同じだけの愛情が注がれている、ということでしょうか。笑
納車から現在までに発生した不具合
これまで発生した不具合は特にありません。
今のところ大変優秀です。
作業内容
1年点検での作業内容は、下記の通り。
・エンジンオイル・エンジンオイルフィルターの交換
その他は点検と清掃、空気圧の調整等です。
ちなみに、エンジンオイルは標準のもの。SPストロングセーブ・X 0W-20Hでした。
特にオイルのアップグレードを聞かれることもなく、言われるがままでした。
次はちょっと変えてみるかもしれません。
消耗品(ブレーキパッド・ローター・タイヤ溝)の残量
消耗品であるブレーキパッド・ディスク・タイヤ溝の残量(ディスクは摩耗量)は下記の通りでした。
| 部品名 | 残量 | 備考 |
| ブレーキパッド | F 8.0㎜、R 7.0㎜ | |
| ディスク(摩耗量) | 計測なし | |
| タイヤ溝 | F 6.4㎜、R 5.7㎜ |

ブレーキパッドは薄め
ブレーキパッドはもともと(意外と薄いと評した)タイプRよりさらに薄いようです。10㎜を超えるパッド厚のポルシェやメルセデス・ベンツなどのドイツ車に比べると、年間走行距離が短く、超高速からのハードブレーキングといった利用シーンの少ない日本車は、若干薄めに作るのかもしれません。
ブレーキディスクの摩耗量についての記載はなし
ブレーキディスク(ローター)の摩耗量については、日産でも記録簿に記載がありませんでした。
実際に摩耗量の測定は若干面倒なこともあり、1時間から1時間半で定期点検を済ませてくれる日本車では、実測をしないことがほとんどみたいです。
道路運送車両法においても、記録簿において残量までの記載は求めてないようです。記録簿上は「ディスク・キャリパの機能・摩耗・損傷」のチェック項目に「/(異常なし、良好の意味)」が入っているだけのことが多いです。
ドイツ車の場合は、そもそもパッド交換の頻度が高い(長距離を乗る人が多い、ブレーキに負荷のかかる使用状況が多いなど)こともあり、整備の一環で実測することが多いようです。メルセデス・ベンツやポルシェなども、サービス品質の一環(整備SOP(標準作業手順)の高さもブランドの一部)としてこうした数値を開示しているそう。
タイヤ溝は、走行距離がほぼ同じだったタイプRよりも早く減っていそうです。
納車一年後レビュー
さて、ここからは納車後一年経ってのレビューです。
フェアレディZについて書こうとすると、いつもなんだか恋文みたいな感じになって我ながら気持ち悪いです。
なぜなんでしょう、フェアレディZがそういう車だからかもしれません。
比較試乗してどちらが完璧か、みたいなことをするとすぐに脱落してしまいそうな車。でも、抗いがたい魅力がある。
その魅力を手垢にまみれた「評価」から救い出そうとすると、客観性を欠いた「恋文」みたいになってしまうーーー。
またいつもの感じで、ちょっと変なレビューをしたいと思います。
フェアレディZに癒されている、と感じた瞬間
定期点検に向かう時。残念ながら体調はいまいちでした。頭痛がします。点検は、普段置いてある場所から100㎞の道のり。
前日タイプRに乗った時に、「おい、もうちょっとアクセル踏まないか、ぶぅんぶぅん(エンジン音のつもり)」と煽られている感じがして「ごめん、ちょっと今日は勘弁」と思わずつぶやく―――。そんな状況でした。
RZ34に乗って、「さてと行くか、しんどいけど」とハンドルを握ります。
ああ、軽い操舵力。楽でいい。
そしてGT-R(R35)と同じ断面形状のステアリング。太すぎないのが良い。
革の触感。ザラザラしてなくて、適度にツルっとした感じが心地良い。

体調の悪いときは触覚とか聴覚とかが敏感になるのか、普段気にならないところに感じ入って「ああ、いいなぁ。優しいなぁ」という言葉が出そうになります。
駐車場の近くはかなり荒れた路面。そこでのフェアレディZの足は、あくまでもアタリが柔らか。体調の悪い私をいたわってくれているかのよう。「無理しなくていいからね」、とささやいてくれているみたいです。
・・・という感じで、もう私が変態の領域に入っているだけなのかもしれませんが、Zは体調の悪い私のハートをがっちりと掴んでくれたのでした。

シビックタイプR(FL5)だったらこうはいきません。エンジン振動とドスの効いたエンジン音で「回さないとつまらないよ。おい頑張れよ」と語りかけてくる感じ。ちゃんと期待に応えないと「なんだ、つまんねぇな」とそっぽを向かれる。(もちろん、クールな「秘書」みたいな側面もあるのですが、エンジンフィールなんかはけっこう攻撃的です)
S210はもっと事務的で「まぁそれならどうぞご自由に。私はあなたの意思に忠実に動きますから」という感じ。これぞプロの看護人みたい。
ポルシェ718もS210と同じで、「私は道具ですから、好きにしてください。でも、乗るのは勝手だけど、私の提供する快適性はクラウンとかとは違うことはわかってますよね?」と、と釘を刺される感じ。実際走りだしても、「やっぱ君はスポーツカーだもんね」と選んだ自分をちょっと後悔してしまう。
そんな中で、私が乗っているスポーツ車では唯一、フェアレディZだけが「無理しなくていいですからね」と語りかけてくれるようなのでした。
この車、いいなぁ。
エンジンに癒される
そんな感じで走り始めると、VR30DDTT・V型6気筒エンジンの音が良い。
高速で2,000回転程度で走っていると、ずっとハミングしているよう。

まったくドライバーを駆り立てることもなく、かといって平板でもない。
ちょっと催眠効果のあるような連続音。
それでちょっとだけアクセルを踏むと、すーっと加速しながら音も歌うように盛り上がってくる。
体調が悪い時でもこんなふうに優しく包み込んでくれるような、低回転のエンジン音。そして、無理も何もしていない、余裕の加速。
VR30DDTTは、こんな回転域でも味のあるエンジンなのでした。
(林道ですみませんが、低回転のエンジン音を録りましたのでよろしければどうぞ)
もちろん、ちょっと元気に走ると、2,500rpmくらいからの中回転域がとても気持ち良い。大排気量ターボらしい、線形的な加速をします。
この回転域でも音は「大人っぽい」。マルチシリンダー特有のきれいで、かつ日産特有の「湿った」感じの音。(ご存じの通り、この音はけっこう凝った方法で増幅されています。これについてはまた別途取り上げたいと思います。)
ドライバーを駆り立てるのではなく、じっくりと「聴かせる」。落ち着き払ったブルースシンガーのようです。
体調不良でも癒される、そんなフェアレディZのエンジンでした。
デザインに癒される
そして、降りてふと眺めるフェアレディZの姿。典型的なロングノーズ・ショートデッキに加えて、カウルトップよりも下がったトランクエンド。

この、何とも言えない色気に、ガバッと開いたドーモ君のような開口部。このちょっとほんわかした感じが私は好きです(じつはかわいいだけじゃなくて、真四角に切り取った部分が全体を「モダン」に見せていると思います)。


















何もしてくれないという贅沢
こう書いてみると、RZ34は「雰囲気だけ」の車のように思えるかもしれませんが、そうではありません。意外や意外、椿ライン(神奈川県の湯河原から箱根まで上る山道です)のようなタイトコーナーに行っても楽しい。

普段はちょっとフロントが落ち着かなくてひょこひょこしているのですが、これもタイトコーナーに行くとドンピシャ、気持ち良い。少ないステアリングさばきでかなり機敏にコーナーを駆け抜けていきます。
こんな爽快な動きになるのは、全体にクイックなステアリングギアレシオだからだと思います(もちろん、ホイールベースの短さなども効いています)。
一方、可変ギアレシオを使ってないので、センター付近は轍などでも比較的神経質に動きやすく感じます。そうであってもきびきび動かす、なぜならその方が楽しいから!そんな潔さがあるように思います。
が、それだけなら「けっこう楽しい」普通の車。Zにはその先があります。
この車の面白いところは「スリリング」な楽しさが残っているところ。
フロントヘビー(57.0:43.0)でリア駆動。しかもターボでピークトルクが475Nmあります。ちょっと不用意にアクセルを踏めばホイールスピンをさせるのは簡単です。ステアリングを切りながらアクセルをガツンと踏めばオーバーステアにすることも簡単だと思います(怖くて公道ではやれません)。

現代の車は、ここで電子制御ダンパーやトルクベクタリング、四輪駆動車であれば前後可変トルク配分機構などを駆使して、前後左右の加重移動の速度をコントロールすることで車両を安定化させ、どんな運転でも上手に車を動かしてくれます。
でもフェアレディZは違います。
基本的には自分のドライビングがそのまま車から跳ね返ってきます。
特にベースグレードはLSDやトルクベクタリングもありませんし、もちろん電子制御ダンパーもありません。車両安定化装置(VDCやTCS)こそついているものの、それは保険。
基本は自分で荷重移動をして曲げていく。うまくできればスムーズに曲がれるし、そうでなければぎくしゃくして気持ち悪い。
車と対話しながら車の限界を探り、アクセル・ブレーキを巧みに使って車両をコントロールする―――。そういった昔の車を操る醍醐味みたいなものが、確かにあります。
極端にいえば、我が家のカニ目(オースチン・ヒーレー・スプライトMk1)と似たところがあります。

現代的な「洗練」とは全く異なる、車との対話を楽しむ車。
車が何もしてくれないという贅沢。
フェアレディZには、そんな「古風な」魅力があるように思いました。

ちょっとピントのずれた「思いやり」もまた良し?!
そんな、本格的なスポーツカーらしい一面を持ちながら、やっぱり感じるのは、この車は「おもてなしの車」だなぁということです。
優しい乗り味、楽しいハンドリング、静かな車内、心地良いエンジン音。
「楽しく、快適にドライブしてほしい」。そんな車の気遣いを感じます。
中にはおもてなしが過ぎて、おせっかいだなぁと思う時もあります。
たとえば、以前にも書いたEPS(電動パワーステアリング)のセッティング。
低速ではものすごくアシストが強くて、高速になると電気的な抵抗をわざとつけてセンターの「どっしり感」を出す。ちょっとファミリーカーみたい。
しかも、轍でハンドルを取られたのをドライバーの入力と「勘違い」してハンドルが取られた方向に軽くなってしまったり。
でも、こうした「勘違い」からくるおせっかいも、ドライバーを信じているからこそ(EPSのノイズフィルターが、トルクセンサーからの入力信号を「ドライバーからの入力」だと判断する傾向が強そう)、要はお人よしなんだな。
それに、そもそもEPSがこれだけ介入するのは「快適にドライブしてほしい」という思いがあればこそ。
そう考えるとこうした「ピントのずれた」おせっかいも、ちょっと微笑ましく思えてきます。
欠点だって愛おしさに変わる
欠点も少なくはないと感じます。
ピントのずれたユーザインタフェース(トリップメーターをリセットするだけでも大変)、たまにブルッとしたりエンジン振動が伝わってくるボディフロア、横方向にひょこひょこ動いて落ち着かないフロント、発進時にガバッと車が飛び出てしまうようなアクセル開度マップ、踏みごたえがあまりなく初期の噛みも甘いブレーキ、かなり変速に苦労するマニュアルトランスミッションなどなど。
人によっては下り坂のブレーキングで踏ん張ってくれないリアを欠点に感じるかもしれません。人によってはこんな視界性能は我慢ならん、と感じるかもしれません。さらには、グランドツーリングカーなのになんだあの内装は、と憤慨する人もいるかもしれません。半クラッチ領域が無駄に大きいと感じる人もいるかもしれません。低回転域でのターボのレスポンスが鈍いと感じる人もいるかもしれません。
でも、乗っているうちにエンジン音に魔法をかけられるのか、「そんなことどうでもいいや」とも思えてくるから不思議。逆にそんな欠点も「完璧じゃなくてかわいい」と思えてきます。さらに言えば、欠点があるからこそ好き、みたいな。。。

・・・これってめちゃくちゃエコひいきじゃん!
そうなんです、ただの親バカ。だってレビューしてお金もらってないですから。、、
レビューというのは、ある意味採点競技なんですよね。リズムが正確とか、コーナリング姿勢の変化が少ないとか、アクセル・ブレーキがリニアとか。
フェアレディZは、それとは関係ない世界の車。自由に演技し、ドライバーを楽しませることだけを考える。
つくづく、そんな車だなあと思うのでした。
だからこそ、オーナーの端くれが魅力を発信しないと、なんて義務感にまで駆られてしまうのでした。
どの車にも似てないという魅力
最後に、ここまで書いてきて忘れずに言っておきたいことが残っていました。
それは、この車はどの車にも似てない、ということです。
自動車もビジネスである以上、競合に打ち勝つだけの魅力ある車を作り、ユーザにアピールしなくてはいけません。そうすると、どうしても「競合に対するポジショニングはこうで」「この機能を差異化の目玉として」みたいなマーケティングをすることになる。そしてベンチマークを研究して、それを超えようとする。
でも、この車、そういう感じには作られていません。
徹頭徹尾、ファンサービス。

フェアレディZのファンが、どうしたらこの車を買って喜ぶか?それを徹底的に考え抜く。
その結果が、歴代Zをオマージュしたガワに、400PS超えの心臓を据えたFR車。
それを制御の力ではなく、ドライバーの腕で乗りこなす車。
しかもちょっと背伸びすれば手が届く値段。
そんな価値観を追求していったら、「どこにもない車になりました」。
バイヤーズガイドでの評価はそれほどだけど、ファンは大喜び。
そんな車になったと思います。
じゃあ、ファン感謝デーみたいに、ファンが内輪で盛り上がるためのクルマかというとそんなことはない。
ファンが愛したZには、「安いのに本格的」、「操る楽しさがある」、そして「美しい」(主観によりますが)。そういった普遍的な価値があります。
ファンへのおもてなしを追求することが、Zの持つ「普遍的な価値」の追求につながった。
「普遍的な価値」の追求が、この車を研ぎ澄ましていった。その結果「まぎれもなくZ」という、特異な(=どこにもない)車になった。
それが逆説的に新しいファンを獲得することにもつながった。
私にはそんなふうに思えます。
まとめ

オーナーになって1年経過したフェアレディZ。
ある意味「ラテン的な快楽」を日本的に再解釈したとも思えるこの車に対して、半分ドイツ人の血が流れている(と勝手に解釈している)私は、最初どうやってこの車と向き合っていいのかわかりませんでした。
が、体調不良時の「事件」を境に、すごく好きになってしまいました。
乗るたびに、「ああ、どうしてここそうなるかなぁ」とぼやきながらも、「やっぱりいいねぇ。いいじゃないのー?」と盛り上がっていく自分を発見しています。
我が家のガレージの中ではやや異端なフェアレディZですが、私はこの車の魅力に憑りつかれています。
次の一年、この車に対してどんな心境の変化があるのか、あるいはないのか、今から楽しみです。

おまけ:2026年夏のマイナーチェンジには期待しかない!
すでに発表のあったフェアレディZ(RZ34)のマイナーチェンジモデル。
フェアレディZは2026年夏のマイナーチェンジでどう変わる? Gノーズや容量アップされたショックアブソーバー採用など進化点を解説
顔つきも変わる、大きな変化です。
が、私の期待はそこではありません(私は今の顔が好き)。
目を引いたのは、ダンパーのピストン径の変更(φ40からφ45mm)。
これはかなりうらやましい。
私の今の一番の不満は、轍にハンドルを取られるような不整路でフロントがひょこひょこ動くこと。そして、たまにその入力をハンドルからの入力と勘違いして、EPSがハンドルを切る方向にアシストしてしまう(アシストトルクを加えることで反力が軽くなる)ことです。
コーナリング中にわざと切り増しした時にも感じたように、どうもこの動きの原因は、ダンパーの初期の減衰不足ではないかと思っています。一瞬車がフリーになったような感じになるのです(抑えが効かない状態)。
ピストン径が増大すれば、オイルが素早く流れるので、狙った減衰が素早く立ち上がるはず。そして、車の動きが整えられれば、トルクセンサーへの入力信号も整って、EPSが変な動きをすることもなくなるはず。。。
なーんて、ただの妄想なんですが。
逆に言えば、日産がこのタイミングでダンパーのピストン径を変えてくるということは、リアルワールドにおいて狙った性能が出ていなかった、というか看過できないくらい気になる動きが出てしまっていた、ということかな、と思います。
ということを考えると、コロナ禍で実走試験が限られていたこともあるでしょうが、ちゃんと納得のいく走り味にして初期モデルを出してほしかったなぁー、なんて思ったりもします。ま、仕方ないんですけどね。
もしかしたらマイナーチェンジで足回りが良くなっていたら、私も足回りはその方向でいじるかもしれません。










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