「スバルWRXは北米で爆売れ(昨年同期比83倍!)」「WRX S4は存亡の危機。マニュアルが起爆剤になるか」など。実際売れているのか、売れてないのか?販売台数はどうなのでしょうか?調べてみました。(2024年1月24日数値を更新しました)

前提:アメリカでのWRXとWRX STiの関係は日本と少し違う

アメリカではWRX / WRX STiは同一車種として扱われる

アメリカの記事を見ると、WRX / WRX STiは同一車種のグレード違いと扱われています。現地ではSTiのブランド力が日本ほど浸透していないこともこうした位置づけに影響していると思います。日本の、STiが走りのグレード、S4が大人のスポーツセダン、という明確なグレード分けとは違うようです。

そんなこともあってか、もともとWRX(日本のS4に相当)にもMT(マニュアル・トランスミッション)が用意されているのはご存じのとおりです。

アメリカではWRXの最大出力は先代比3HPアップしている

日本ではWRX S4(VBH)の最大出力が、先代300PS(FA20)→現行275PS(FA24)となってスペックダウンが騒がれていますが、そもそもアメリカでは少し違うのですね。

アメリカでは先代268HP→現行271HPとなっており、スペックはわずかながら上がっているようです。(重量増によりパワーウェイトレシオは悪化)。

そんなこともあってか、パワートレーンに対してのネガティブな反応は日本ほどではないようです(むしろあの外観がダメなようです。。)

スバル WRX(アメリカ仕様)。プレスキットより
Subaru of America のプレス向け資料から

アメリカでのWRX販売台数推移

年間推移(2023年までの数値)

早速下記を見てみましょう。前述の通り、WRX全体の数字です。

合計月平均
201633,2792,773
201731,3582,613
201828,7302,394
201921,8381,820
202021,1781,765
202127,1412,262
202218,6621,555
202324,6812,057
出典:GOODCARBADCAR, Carfiguresの数値を元に作成

2022年3月頃から現行型WRX(VBH)の販売が始まっているようです。

たしかに、2023年は2021年までと異なりSTiグレードがないにもかかわらず、販売は好調のように見えます。

しかし、昨年同月比83倍の爆売れ、というほど爆売れしているようには見えません。では、昨年同月比83倍はどこから来るのでしょうか?

月間推移

1月2月3月4月5月6月
20211,5551,7212,2903,1833,1692,354
2022341312041,4972,6741,465
20232,0062,5983,0052,6672,7712,326
出典:GOODCARBADCARの数値を元に作成

もうお分かりですよね。ニューモデルに切り替わる際の2022年2月の31台が異常値。

これの83倍に何の意味があるのでしょうか、と言いたくなります。

スバル WRX(アメリカ仕様)。プレスキットより
Subaru of America のプレス向け資料から

日本でWRX S4は売れていない?(2023年12月までの数値)

まずは先代モデルの前半期に当たる2018/3までのデータを見てみたいと思います。

こちらもWRX S4、WRX STiの合算値です。WRX全体としては、アメリカでの販売台数は日本のざっと4倍だということがわかります。

 合計月平均
15/37,991666
16/37,181598
17/36,724560
18/38,284690
株式会社SUBARUの過去のIR資料より抜粋

年よって違いはあるものの、WRX S4の販売台数はWRX全体の4割程度のようなので、ざっとWRX S4の先代モデルの販売台数は年間2,500~3,000台、月販で200~250台というところ。

しかし、モデル末期になると販売は落ちてきます。

2020年(WRX S4単独):年間約2,000台(月販170台)程度。

モデルチェンジ後はどうでしょうか?

2023年は合計2,300台、平均月販192台。

 WRX STiWRX S4合計
2015360240600
2020250170420
2023 192192

まぁ、見てみるとWRX S4自体はまあまあ頑張っているのではないかと。確かに好調とは言えないと思いますが。。

とはいっても、WRX STI比率が高かった日本は、STIがなくなった分販売が大きく落ち、一方WRX STI比率がそこまで高くなかったアメリカは、WRXのボディ大型化で(STIがなくても)売上に弾みが付いている状況。

アメリカと日本の販売台数の差は実に10倍以上になってしまいました。北米向けの車といわれても仕方ないですね。。

アプライドD型で大きなスポイラーがオプションで選べるようになったり、アイサイトがバージョンアップしたりと商品力強化が進みますが、売れ行きにはそこまで寄与していないようです。

スバル WRX S4 マイナーチェンジ(D型)の情報はこちら(ベストカー)

まとめ

スバルWRX(日本に当たるS4)はアメリカで爆売れ、日本では売れていない、というのは、半分当たっていて半分誇張されすぎのように思いました。少しはスバルWRXの汚名が晴らされたかな。。

(昨年同月比83倍などの記事は)記事の閲覧数を上げるためにはやりたくなるのはわかりますが、受け取る側は話半分に受け止めなきゃな、と思いました。自分の車ではないのにちょっと気になったので、調べてみた次第です。

スバル WRX(アメリカ仕様)。プレスキットより
Subaru of America のプレス向け資料から

スバルファンとして

私もレガシィS401を所有するスバル好きですが(スバリストは他人から敬意をもって呼ばれる言葉らしいので、怖くて使えません)、このWRX S4もなかなかメディアではいいことを書いてもらえないようで、すごく歯がゆい気持ちです。

スバルには、みんなが黙るような車を出してほしい!と願っています。


スバルWRX(STi含む)の2014-2023年の年間販売台数推移(VAF,VAGおよびVBの全期間)は下記にまとめています。

【資料】スバル WRXの米国販売台数推移(2014-2023年)

【試乗】スバル WRX S4 (VBH)に718ボクスター&レガシィ S401オーナーが乗ってみた感想(レヴォーグ、BRZとの比較も)を読む

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