私が乗っている車を比較してみようという乱暴な企画を始めようと思います。

ポルシェ 718ボクスターとホンダ シビック タイプR(FL5)を購入の際に比較検討される方は皆無だと思いますので、普通はメディアとしては比較する意味はないと思われます。
が、この比較が成り立つのも非営利の個人ブログだからこそ。
「なぜこの車を比較するの?」「この車に乗っているから!」
ということで何も考えずにとりあえずスタートしてみたいと思います。
「似ている」を探す旅へようこそ!
シビック タイプR(FL5)の購入を検討していた時に、車載動画を載せているアメリカのYouTuberさんが、「シビック タイプRはポルシェと同じようなドライビングの楽しさがある!」と言っていたのを耳にしたことがあります。
「へー、面白いことをいうなぁ」と思っていたのですが、実際に納車されて乗ってみると、
「確かに、似ている」
と思うところがあります。


今回は私なりに、一見何も共通点のなさそうなポルシェ 718ボクスターとホンダ シビック タイプR(FL5)の何が似ているのか、解き明かしていきたいと思います。
「似ている」を探す旅に出かけましょう!
※もちろん、違うところだらけなので、その点も触れていきたいと思います。
まずは乗る前に、共通点を探す
共通点、ありました!
どちらも量産スポーツカーで、どちらもわりと市販車の形を残した車両で競うレースに出ていることです。
ポルシェ 718シリーズ(以下718)は、GT4カテゴリのレーシングカーとして使われています。また、ニュルブルクリンク24時間耐久レースでは、毎年数十台の718(981ケイマンもですが)がいろんなクラスで「うようよ」走っています(2025年は718が20台、先代を含めて29台がエントリーしました)。


シビック タイプR(FL5。以下FL5)は、ツーリングカー選手権(TCR)用のモデルが北米・南米、アジア、ヨーロッパなど、いろんなところで走っています。(もちろんスーパーGTでもガワだけ被った車が走っていますが、これは中身は全くの別物。)
そういうことで、「手に届くレースカー」として使われることが多い、という点が共通点として挙げられそうです。
でも、違うところだらけ
上記を除けば、違うところだらけ、というのが第一印象です。
- 718
- 駆動方式:MR(ミッドシップエンジン後輪駆動)
- 乗車定員:2名
- 価格:1,000万円超(オプションでいくらでも高くできる!)

- FL5
- 駆動方式:FF(フロントエンジン前輪駆動)
- 乗車定員:4名
- 価格:500万円程度(初期モデル)

まぁ普通に考えれば比べるのが無謀だな、と思いますね。笑
成り立ちの違い
そもそもこの2台、成り立ちが全然違います。
ポルシェ718シリーズは「スポーツカー」の弟分
ご存じの方も多いと思いますが、718シリーズの前身であるボクスター / ケイマンは1996年に販売の始まった車。

当時ポルシェは経営難でした。苦境を打開すべく、当時ユーノス・ロードスターが一世を風靡してブームになっていたライトウェイトオープンカーのマーケットに「後出しじゃんけん」で出した車です。それも、生産台数を増やして量産効果を得ようと、可能な限り911のコンポーネントを使って出てきた廉価版の車です(価格は911の半分なのに前半部分は全く同じ車だった)。
そんな成り立ちは今でもこの車に、ほかにはない特徴を与えているように思います。
- このクラスでは珍しく(といってもロードスターもそうですが)最初からスポーツカーに最適化されたプラットフォームを使っている
- 兄貴分の911の資産を使えるため、比較的安価にスポーツカーを作れる(例えば水平対向エンジンもモジュール化されていて、共通設計の中からバリエーションを作っている)
要は、良いとこ育ちのサラブレッドなんだけど性格は庶民派、みたいな感じでしょうか。。。
ホンダ シビック タイプRは普通の乗用車の「変異個体」
じつは最初のシビック タイプRが登場したのは1997年、ポルシェ ボクスター登場と1年しか違いません!ちなみに私が就職したのもこの年(←本題と関係ない)。
このころは就職氷河期の後遺症の残った時期で、消費の冷え込んだ停滞期にありました。そんな中で各社、普通の乗用車ベースのエボリューションモデル(ベース車両を改良・発展させたモデル。レースのホモロゲーションをとるために作られることもある)に力を入れていた時期です。

スカイライン GT-R(1989年)、セリカ GT-FOUR RC(1991年)、ランサーエボリューション(1992年)、インプレッサ・WRX STi(1992年)などを筆頭にホンダでもインテグラ タイプR(1995年)などが出ています。
これらのモデルは、基本的には普通の乗用車をベースに足回りやエンジンなどを強化しています。FL5も同じ流れです。
- ファミリーカー譲りの使い勝手がある。普通の乗用車がベースなので、何より着座位置が高く、運転しやすさを優先して視界も良い、使い勝手も良い、といった特徴があります。スポーツカーでありながら気軽に乗れる感じ。
- 普通の乗用車をベースにしているので、たいがいは共通設計が同じ。生産もベース車と同じラインで行われます。ベース車の量産効果を最大限に生かせるので、スポーツカー専用車に比べると比較的安価に車を作ることができます。
こちらは、下町育ちで努力を重ねて這い上がってきた「ファイター」みたいな感じでしょうか。
モデルラインの中での立ち位置の違い
ポルシェ 718ボクスター GTS 4.0は「街乗り全部盛り」という立ち位置
ポルシェにとってのGTSグレード、はベースグレードの利便性はそのままに、ちょっと高性能なエンジンチューン(718の場合はエンジンが違いますが、通常はSグレードのライトチューン版が多い)と足回りの強化を施した、「街乗り全部盛りモデル」といったところ。

このグレードの上にはサーキットをメインに据えたGTモデル(718ケイマンGT4、GT4RS)や、よりハイパフォーマンスなオープンモデル(718スパイダー、718スパイダーRS)があります。

ホンダ シビック タイプR(FL5)は、「ハードコア」な立ち位置
一方こちらはファミリーカーの「エボリューションモデル」。快適性はぎりぎり保ちながらもサーキット走行等のハードな走行に照準を合わせたグレードになっています。

そのため、大きなウィングを装着するなど、見るからに「すごい」姿をしています。
見渡してみる:やっぱり違う
718は品格の漂うサラブレッド
あまりこういう言葉を並べるのは好きではないのですが、ほかにいい言葉が見つかりません。
見た目は丸みを帯びてややクラシック。プレスラインも少なめながらうまく直線を入れてシャープに見せています。

プロポーションはやや前が短く、ああ、なんかこれは見るからに速そうだな、という感覚があります。

が、大きな羽根もなく、マフラーも左右2本出しで、全体に威圧感のないデザインです。

FL5はやっぱりファイターっぽい
それに比べてFL5は、すべてが戦闘モードに感じます。
見た目は普通の乗用車。なのによく見るとフェンダーが出っ張っていてなにやら好戦的な感じがします。


さらに、大きな羽根と3本出しマフラーで、かなり威圧感があります。

知り合いからも「ほー、若いねー」とか「頑張るねー」と言われます。
乗り込んでも違う2台
いよいよ実車に乗り込んでみます。
718は「プロ向けの仕事場」みたい

718に乗り込みます。私の718は黒の地味な内装を選んでいることもありますが、
「何も無駄のない仕事場」
という感じがします。低い着座位置も演出のためではなく、「この方が安定して走れるでしょ」とでも言わんばかり。すべてが合理主義的です。


それでいて育ちの良さ(≒専用設計)ゆえの「クールさ」が漂っています。
「じゃ、いきましょうか」そんな掛け声が似合います。
FL5には「土着の非日常感」がある
一方のFL5、ドアを開ける前から真っ赤なシートが目に映ります。何やら凄そう。

ドアを開けると、うっ、赤いシートがまぶしい!


そして、シートに座ると、真っ赤な「H」のエンブレム。こりゃーすごいな、という気分になります。ちょっと恥ずかしさも同居します。
そして赤いシートベルト。やりすぎ!
運転する前から高揚感があります。
武闘派だなあ、これは。
「よっしゃ、行くぞ!」と言いたくなるような雰囲気が漂っています。
・・・でも、着座位置などはあべこべに「718が特別(低い)」で「FL5は普通」。
このギャップがまた面白いところ。
走り出す:やっぱり違うぞ!
718は「無駄のないアスリート」っぽい
エンジンをかけると、背中からエンジン音と脈動が伝わってくるところから「タダものでない」感じがしてくるものの、音量はそれほど大きくありません。特に低音域の迫力がそんなにないので、普通の乗用車がちょっとうるさくなったくらいの感じ。
走り出しても、特に6気筒モデルは音も多気筒水平対向エンジン特有のきれいな音がしてきて、そんなに「走り」を意識しません。乗り心地も思いのほか良好。
ハンドルの動き、アクセル、ブレーキの動きは非常に正確で、とても良い道具を扱っている感があります。

・・・このように、低速で走っていても「何かすごい能力のありそうな」雰囲気は漂わせながら、まったく扱いにくさのない「優れた道具」感があふれています。
一方、やはりというか、この車の真価を発揮する山道に行くと―――。
まさに低重心でエンジンが前にない車特有の、何の抵抗もなくするすると向きを変えていくさまに感動。そしてカーブの脱出ではトラクションがしっかりかかるため安心してアクセルを踏み込める。
しかも安定感があるのに身のこなしが軽く、軽量な車に乗っている感覚があります。
エンジンや駆動のレイアウトはF1などのレーシングカーと同じ。走るために合理的なレイアウトをとっていることもあり、すべての運動に合理性があり、無理がない。まさにサラブレッドという感じがします。
FL5からは闘志を感じる
一方のFL5。エンジンをかけると、低音の強調された、何やら渇いたような音がしてきます。音量自体は大きくないものの、低音の迫力があるため、「こりゃぁすごいなぁ」という感じがビンビンと伝わってきます。
走り始めても、シングルマスのフライホイールを使っていることもあり、エンジンの振動がよりダイレクトに室内に伝わってきます(助手席にいても感じるそう)。音も引き続き低音のドスが効いています。乗り心地も、特にダンパーの縮み側の減衰力の高さを感じます。一言でいうと、「コンフォートモードでも跳ねそう」。
運転席では40㎞/hくらいからステアリングホイールは「(一番軽いモードでも)かなり重め」になり、ハードな設定の車に乗っていることを実感します。
メーターも「+R」モードにするとかなりやる気なグラフィックになります。

・・・こちらは、低速で走っていても「戦闘準備OK」な、かなり刺激的な車という印象です。
一方、山道に行くと―――。
一番に感じるのは、FFならではの加速の怖さ。路面の荒れで前輪左右のトラクションに差が出てしまい、それを電子制御で何とか御している感じ。全体に「前から引っ張られる」感じが強く、助手席でもこの加速には一種の怖さを感じます。
それでも、鼻先は普通に入っていくし、ブレーキングも怖くない。そしてターボチャージャーなのにラグが少なくツキが良く、それでいて高回転になると5,500回転を超えたあたりからの「盛り上がり」もある。
正直フロントエンジンフロント駆動(FF)というレイアウトはキャビンを広くするための最適解ではあっても、走りの上ではハンデになります。フロントが重く駆動もしなくてはいけないため曲がりにくいし脱出時のトラクションもかかりにくい、ブレーキング時にリアの姿勢が乱れやすいなどなど。
それでも、走ってみるとかなり楽しい。
この車には、ある種の倒錯的な楽しみがあるように思います。
「本来持つ走りのネガ」を「技術で無理やり抑え込んで」速い車を作ったことに敬意を表しつつ、それでも時折出てくる「弱点」を御しながら運転し、それを「征服」できたことにほくそ笑む。。。かなりマニアックな楽しみだな、と感じます。
そういう意味では718とFL5、全く別の方向性に魅力を持った車だな、と感じます。
走りを味わう:あれ?なんか似ている!?
が、そんな中にも、走っていると何か似ている部分も相当あるな、ということに気づきます。
走りの「共通性」
最初に言ってしまえば、718もFL5も走りに関していえば
「飾りっ気がゼロ」
ということです。エンタテインメント性がゼロといってもいいでしょうか?無駄な演出がない、ということも言えるかも。
どちらも、
「走りの職人みたい」
なところがとても似ていると感じます。
ここからは、どこにそう感じる要素があるか、細かく見てみたいと思います。
ハンドルの「切り始め」はどちらも「演出ゼロ」
たとえば、ハンドルの切り始め。
どちらの車も「演出ゼロ」なところが似ています。
718はラックアシスト型(同軸型)のパワーステアリング(EPS)、FL5はピニオンアシスト型(デュアルピニオン)のEPSで、EPSの方式自体は違います。
が、味付けは似ているように思います。
718。
ステアリングにはセンター付近の据わり感がしっかりあります。そして、ちょっとした一瞬の「ため」みたいなものがあってから、ハンドルの切れ角に応じて車が反応していきます。

この時EPSからの操舵反力はとても自然。センター付近に「芯」を出すような演出や、切れ初めにゲインが高く「クイックに曲がりそう」というような演出がありません。
そして切っていくと、意外とスローな反応(センター付近のギアレシオは15.0:1)。じわっと切れていく感じがあります。スポーツモデルではこのギアレシオが17.0:1になっています。
このことからも、ポルシェは超高速域(200㎞/h超)での操縦安定性や安心感をとても重視していることがわかります。
一方のFL5。
こちらも感触は「ナチュラルでリニア」。
センター付近はどっしり据わり感があります。低速域では718よりも軽く切れるものの、時速40㎞/hくらいになると重くなります。重さはモード切替により3段階に調整可能ですが、どれもけっこう重め。

ただし、ホンダの市販車に多い、センター付近の据わり感を出すための「抵抗」はなく、その「抵抗」を突破した時の「ぐにゃっ」とした感触もありません。
いたってリニアに、こちらもじわっとハンドルが切れていく感じ。
じつは人間が「リニア」と感じるのは本当はリニアではないらしく、「リニア」と感じられるように「リニアでない」設計をするんだとか。まぁどちらの車もそんなところまでこだわって作りこんでいる感じがします。
アクセル、ブレーキも「リニアだわぁ」
アクセル、ブレーキも両車ともに「リニア」。
718。
アクセルは、こちらもほんの少し「ため」のようなものがあってそこから自然吸気エンジンがしっかり回転を稼いでパワーを出していきます。
踏み初めに「がバッ」と車が前に出るような感覚は全くありません。たぶん誰でもスムーズに走れると思います。スポーティに見せるためにアクセルが少し踏まれた時に燃料を多めに噴射するような演出はありません。しっかり踏まないと加速しません。

ブレーキも同様。ストローク自体は少なめですが、制動力の立ち上がりは穏やかで、少ししか踏まなければ少ししかブレーキがかかりません。奥に行くまでとてもリニアに感じます。
ストローク自体が短いのでブレーキコントロールはそれほど簡単ではありませんが、ちゃんとした技術があれば、ものすごくコントロールしやすいだろうと思います。

FL5。
こちらも特に1速の出足は出力を絞り気味。しっかり踏んで加速していくタイプです。この辺りは非常に行儀のよい、能ある鷹は爪を隠す、というような穏やかな出足。
そして、小排気量(2.0L)のターボ車でありながら、加速に段付きがなく、できるだけ「リニア」に感じられるように調律されています。「(ターボチャージャーの)コンプレッサーの羽根の枚数を変えたりしてレスポンスの向上に徹底的にこだわった」、というようにとにかくハイパワーターボにしてはレスポンスの遅れもなくきれいにトルクが立ち上がります。
ブレーキも同様。
718よりはやや手前で足裏に抵抗を感じて、少し早めに制動力も立ち上がる印象ではあるものの、こちらも踏力に応じてブレーキコントロールが自在にできます。ラフに運転するには718よりこちらの方が短いストロークでブレーキの効きを実感しやすいかもしれません。

それでも、ファミリーカーのように、ブレーキブースターがアシストして一気にカックンとブレーキをかけるような制御はしておらず、あくまでもドライバーがきちんと運転することを想定してのブーストのかけ方になっています。
変速も「無駄がない」
718。
私はあえてPDKというデュアルクラッチトランスミッションの車に乗っています。これは、とにかく「無駄のない」動きをする718のような車には、「無駄のない」トランスミッションがあっていると思ったからです。

変速はとにかく高速、ダウンシフトもズバズバと決めてくれます。
FL5。
マニュアルシフトしかないこの車ですが、その中では「最良・最速」なんじゃないかというのがこのシフト機構。ストロークも短く、ともかくスコスコとギアが入っていきます。

この感覚は絶品で、この車の魅力のかなりの部分をトランスミッションが占めているような気がします。
(この車の「絶品MT」があるので、私は他の車を選ぶときに「絶対MTがいい」と思わなかったりします。)
どちらも、方式は違えど、正確に、速く変速できるところにこだわったトランスミッションだと感じます。
走りはどちらも「骨太だなぁ」
こちらも、両車から確かな剛性感を感じ取ることができます。
718。
オープンカーではありながら、もともとミッドシップレイアウトであるため前席のすぐ後ろ(エンジンとの間)に剛体を入れられることから、フロア剛性をしっかりとることができています。オープンカーにしてはかなり優秀な部類だと思います。
さらに、718で驚くのは足回りのしっかり感。特にシャシーの取り付け部の剛性が非常に高く感じます。25年にわたる改良の中で、ストラット式サスペンションの横剛性の弱さを克服するために様々な補剛パーツ(ほとんど横方向の動きを少なくするためのもの)や取り付け部の形状変更やボルト数の変更などを経て、非常にがっちりした乗り味を得ています(この辺りの詳細は718ボクスター GTS 4.0 納車一年後レビュー「走行編」をご覧ください)

FL5。
量販車ベースながら、ものすごいがっしり感を感じます。ちょっと荒れた路面を走っても、ボディはミシリともしません(が、内装材はビリビリいう。。)。
足回りというよりフロア剛性の高さを感じます。じつはこのボディ、シビックと同じというのだからびっくり。通常は構造用接着剤の塗布を増やしたりしてボディの補強をするのですが、この車は「素のまま」だそう。

いやぁ、すごい車です。
身のこなしなどちらも「安定第一」
驚くのが車の身のこなし。片や718はミッドシップ、FL5はFFと駆動方式は全く違います。
ですが、実際に乗ってみるとけっこう似ている。
718。
この車の身のこなしは、「地の這うよう」。特にリアがほとんどロールせず、水平移動するような感じ(なのにサスペンションはそんなに硬くないので荒れた路面でもストロークして追従している)。また、コーナーリング中もアクセルオンオフで車体があまり急激に動かず、常にきれいな円を描いてコーナーリングしていきます。
FL5。
一番の驚きは、「これってホントにFF?」というもの。特に下り坂でブレーキを踏みながらハンドルを切るような動きをするとき。まったくリアが伸びあがったりしません。このリアの安定感にまずびっくり。そして何事もなかったようにフロントが内側に「穏やかに」入っていく。
これが雨の日でも同じ動きをするんだからすごいもんです。
この辺りの詳細は次回お伝えしようと思いますが、ともかく「フロントヘビーな車にありがちな怖さが全然ない」というのが驚きです。
すごいのは、どちらの車も荒れた路面の道路をどう走っても全然怖くない!というところ。
コーナーリングの姿勢、特にリアがとても安定していて、アクセルオンオフや路面の傾斜や荒れ方がどうであれ、車の姿勢が急変せず、線形的に動くところがとても似ています。
ニュルブルクリンクのようなすごい曲がりくねって路面の荒れた超高速路を楽して走れるように作っていると、結果的に似たような車の動きになっていくのかもしれません。
ユーザインタフェースとその動作も秀逸
どちらの車も、ユーザインタフェースが良くできていて、必要な機能へのアクセスが簡単なことも似ているポイント。
どちらも超高速で運転している時のブラインドタッチも想定していると思われ、必要最小限の目線の移動で、必要な機能が動かせるように配慮されています。
そして、それぞれの機能が期待通りに動くところも同様。
よく私が試すのはデフロスター。両車ともにボタンは一つ、そしてボタンを押せばどんな時でもものすごい風量とともに一気に曇りをとってくれます。


こうした、必要な時に必要な機能に安全にアクセスでき、しかも動作させればきっちり機能する、というのはじつはすごく大切なこと。
ドイツ車は昔から速度域の高い運転環境での使用を想定していたため、安全面からこうしたユーザインタフェースの研究と実装は進んでいました。
が、FL5はとても優秀。ホンダもモータースポーツを継続する中で、こうした研究を積み重ねてきたのかもしれません。
こんなところにも、両車の「質実剛健」な面が現れていると感じました。
どちらの車も「風を味方につけている」
空力については、空気抵抗にかかわる部分と、熱対策にかかわる部分があります。
ここにも同じような方向性を感じました。
718。
まず高速道路で走って気が付くのは、「べったり」と路面を這うように走っていること。ホイールベースが短く(2475㎜)てもフロントがふらふら動くようなことはありません。
もともとスポーツカーとして設計されているので、空力の設計などはちゃんとされています。ドラッグを減らしながら揚力を極力抑える、などです。前方のダクトから入った空気を床下に流すための穴からドアミラーの形状まで、ベースモデルから一貫して空気の流れには非常に気を使っています(床下のフラップの形状などもグレードによって微妙に違う。詳しくは718ボクスター / ケイマンの「空力」をご参照ください)。


それでも、GTS 4.0は大きなウィングを持っていないため、揚力係数はプラス。先代981型で揚力係数が0.14(前0.08、後0.06)だったので、それと同等か若干の改善くらいかと。
だいたい200㎞/hで走ると車体が45-50㎏くらい「軽く」感じるくらいになる計算で、やはりこの速度域になると「ちょっと接地感が薄くなるかも」と感じられます(当然サーキットでの話です。念のため)。

もう一つの熱対策。こちらは設計の初期段階でエンジン冷却などの空気の流れは考慮されているので、あまり問題になることはないと聞いています。実際にサーキット走行で普通に走る分には油温もすぐ下がりますし、何の心配もいらない、という感じ。
FL5。
こちらは「エボリューションモデル」ということで、徹底的に空力が極められています。
大きなウィングも生えていることもあり、素のままでマイナスリフトを達成。まだサーキットを走ったことはないですが、さぞ安定しているだろうと思います。

新東名のような120㎞/h区間を走らせても、ほんと指一本で走れるくらい楽ちんです。
そして驚くべきことに、風切り音がかなり小さい。特にドアミラー周りには風が来てないのではないかと思うくらい(実際手を伸ばしてみたらバンバンに来てましたが。笑)。
ともかく風の処理に関しては「素晴らしい」の一言です。

熱対策は苦労しているようですが、この代のシビックは最初から「タイプRありき」で設計したらしく、先代に比べるとかなり改善しているようです。

普通の乗用車ベースで設計すると、なかなか厳しいのが熱対策みたいです。現代の車はエンジンルームにいろんな補器類があってぎっしり詰まっています。乗用車の場合できるだけキャビンを広げたいこともありエンジンルームの容積は最小限にしたい。デザイン的にもあまり開口部を大きくすると間抜けな車に見えてしまう。
一方スポーツモデルになるとエンジンがハイパワーになり発生する熱エネルギーも大きい。
・・・ということでとても苦労するところのようですが、シビックの場合は最初からタイプRを作る前提で設計をしている、というわけですね。
そんなところにも、「リアルにサーキット等を超高速で走る」ことを前提にしている両車、しっかりと手抜きなく作られているようでした。
もちろん、走り味に違うところもある!
走り味に関して、何から何まで似ているかと言えば、違うところもあります。
一番の違いは、ドライバーと車の関係性。
718は「一流の道具」、FL5は「有能な秘書」という感じ。
残りは次回。
次回はワインディングで718とFL5の比較をしてみたいと思います。
【比較】ポルシェ 718ボクスター vs ホンダ シビック タイプR(第2回) ワインディング編:サラブレッドと下町ファイターが対決!










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