実際に購入した日産 フェアレディZ(RZ34)ですが、試乗できたのは購入後しばらく経ってからでした。イメージと全然違っていたらイヤだな、とドキドキしながらさせてもらった1年以上前の試乗を振り返ります。

2025年3月に納車されました。納車後の記事はこちら:

日産フェアレディZ(RZ34)、ついに納車!絶品エンジンに感激!!

日産 フェアレディZ(RZ34)、納車後1,000㎞。走って見えてきた人懐こい相棒ぶり

【比較】ポルシェ 718ボクスター vs 日産 フェアレディZ(RZ34)(第1回) 良く比較される、全然似てない車

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日産 フェアレディZ(RZ34)、試乗車が配備されない!

ディーラーの話によると、当初 日産フェアレディZ(RZ34)は2022年7月末でいったん受注を締め切った後、8月頃から順次ディーラーに試乗車が配車されるとのことでした。しかしふたを開けてみると、限定車のProto Spec(国内で240台限定)すら納車がままならない状況。できるだけ購入したユーザに速く納車した方が良い、との判断でほぼ全量が一般ユーザ向けに振り向けられたようでした。

注文から5ヶ月、ようやく試乗がかなった

そんな感じで試乗車の配備は日産本社ショールームのみ(たぶん)。新しいフェアレディZ(RZ34)が試乗車として配備されたのは2022年10月か11月頃でした(こちらもたぶん)。

当時はコロナの真っただ中、すべての試乗が予約制。14日先までの予約しかできません。ディーラーの人に聞くと、「午前0時(午後10時だったかも。。。)に更新するのでそこで予約するといいみたいですよ」とのこと。

その通りやってみたら、運良く予約できました。12月14日(水)、平日夕方最後の枠でした。

日産 フェアレディZ バージョンST。色はイカズチイエロー / スーパーブラック
日産 フェアレディZ バージョンST。色はイカズチイエロー / スーパーブラック。試乗とは別の日に日産 本社ショールームで撮影。以下断りがない限り同じ

試乗できたのは、写真と同型、バージョンSTのAT車。フェアレディZの中ではNISMOを除いて最上級グレードです。色はイカズチイエロー / スーパーブラック。

黄色、自分では選べないけどカッコいいな。こんな色の車が似合う大人になりたい!

車に乗り込んだ感じ(事前チェック)

本社ショールームにはフェアレディZが展示されていて、自由に運転席にも乗り込めるため、何度か事前にチェック。

フロアが高く、少し圧迫感のある車内空間

面白いのはこの車、フロアが高いところです。スカイラインなどでも使っているFR-Lプラットフォームを共有しているためでしょうか。そうした制約の中で低い全高を実現するため、シートの座面をかなり下げている。そのため、けっこう足を前に投げ出したような姿勢になります。

ちなみに、フェアレディZ(RZ34)の全高は1,315㎜。ポルシェ 718ケイマンの全高が1,280㎜(ノーマルモデル)、GRスープラの全高は1,290㎜。他の2台に比べて若干高いとはいえ、全高はほかのスポーツカーとそれほど変わりません。でもフロアは高い。・・・ということで室内の天地はあまりない感じです。アメリカのジャーナリストがYoutubeで「ヘルメットをしていると頭がつかえる!」と言ってました。笑

日産 フェアレディZの室内空間
フェアレディZの頭上空間。頭上部をえぐり取るようにしてなんとかヘッドクリアランスを確保しているように見える。中央部の内部への張り出しも大きく、それなりに圧迫感がある

まぁ、かなりスポーツカーっぽい内部空間と言えそうです。

GT-R(R35)との比較

いつもショールームで隣に置いてあるGT-R(R35)の全高は1,370㎜。乗り込む感じフロアの高さは同じくらい。縦方向の空間はGT-Rの方が広そうです(室内高を見るとGT-R1,095㎜でZは1,065㎜なので30㎜しか違わないですが、Zの場合天井の形をけっこう工夫してなんとかその寸法を確保している感じです)。GT-Rはスポーツカーにしては非常に特異な車で、本当に(車のコンセプトに基いているのでしょう、)乗用車みたいな着座姿勢でアイポイントも高いです。立ち位置の比較的近そうなポルシェ 911(992型)の全高がだいたい1,300㎜前後なので、GT-Rの背の高さが際立ちます。

ダッシュボードの位置は高い

話をZに戻すと、ご存知の通りZにはフロントに大きなV6エンジンが積まれています。つまり、ボンネットの高さは必然的に高くなる。そこでダッシュボードもかなり高く感じます。崖を見る感じで、けっこう圧迫感があるな、というのがショールームで乗り込んだ時の感触でした。

日産 フェアレディZ、目線から前方を見たところ
日産 フェアレディZ、目線から前方を見たところ

さて、試乗。改めて乗り込んでみると

乗り込み姿勢、シート、車両感覚

乗り込みます。サイドシルがそこまで高くなく、全高も1,315㎜とスポーツカーにしては低くないためか、乗り込みは楽です。頭がAピラーと干渉することもありませんでした。

シートに座ります。前の運転者に合わせてシートがすでにある程度上げられていたからでしょうか、ショールームで感じたよりもダッシュボードの高さによる圧迫感はありませんでした。(ショールームではシートを一番下まで下げてあることが多い)。

トヨタ GRスープラの兄弟車であるBMW Z4にも乗せてもらったことがあるのですが、Z4の方がダッシュボードの高さは気になります。全体としてZの方が視界の圧迫感は少ない感じです。囲まれ感もほどほどで、リラックスという言葉で言い表せるような雰囲気です。

ドアを閉めます。いたって乗用車的で、遮音ガラスのためか、意外に外界とは隔離している感じがあります。

シートは形状やサイドサポートを新しくしているとのことですが、肩回りに少しホールド感があるものの、全体としては大柄でサイドサポートもそこまで圧迫感がなく、固くもない。気軽に乗れる感じのシートでした。

車の四隅の感覚も、寸法通りという感じ(4380×1845×1315)。私が乗っているポルシェ 718ボクスター(GTS 4.0)と同じようなサイズだと実感(4390×1800×1270)(※ポルシェ 718ボクスター中心のブログなので、どうしても比較が多くなってしまいます。うざくてすみません)

視界性能

ただ左右ともに斜め前方はドアミラーによる死角が大きめ。ドアミラーも他の車種でも使っている標準品なのか割と縦に大きめ。また、左斜め後ろの視界は良くありませんでした。それでもAピラーの位置は少し後ろにあるので、Aピラーに挟まれたフロント部分の視野角は確保されていました。


日産 フェアレディZ、左前方視界
日産 フェアレディZ、左前方視界
日産 フェアレディZ、右前方視界
日産 フェアレディZ、右前方視界

ちなみに、私のポルシェ 718ボクスター GTS 4.0の左斜め前方はこんな感じ。写している角度が違うので何とも言えませんが、ちょっと雰囲気の違いは感じ取れるかと。

ポルシェ 718ボクスター GTS 4.0、左前方視界
ポルシェ 718ボクスター GTS 4.0、左前方視界

インパネ周り

ハンドルを握りしめます。革の表面はすべすべしています。ちょっと滑りやすいかな?でも悪くありません。ちなみにステアリングの断面形状はGT-Rのものと同じだそう。

インテリアでは、3連メーターの存在感がなかなかです。もうすっかり日が暮れていたこともあり、青白く発光するので雰囲気は抜群。

日産 フェアレディZのコックピット。3連メーターは意外に目立ちました
日産 フェアレディZのコックピット。3連メーターは意外に目立ちました(夜になって周りが暗くなるとより目立つ)
日産 フェアレディZのメーター
日産 フェアレディZのメーター

エンジンをかける!

エンジンをかけます。エンジンはプッシュエンジンスターターを押すことで起動。ここまでは普通の日産車。エンジンがかかります。あっ、普通!エンジン始動音は静かで演出等はありません。普通の乗用車みたいです。V6の獰猛な音が響くのかと思っていますが、そんな子供だましのような演出はないようです。大人だなぁ。

アイドリング振動も少なく、そして静か。

発進します。サイドブレーキを下ろします。伝統的な機械式サイドブレーキ。しかし、左ハンドル用に最適化されているためサイドブレーキは助手席側に。

車が動き始めます。アクセルを踏んだ時の最初の滑り出しは、とても上品。すっと前に出ていく感じ。本社ショールームから道路に出る部分は若干の段差があり、助手席の日産の方から「気をつけてくださいね。斜めに進入してください」といわれます。ハンドルを切ります。予想通りですが、「かるっ!」。なんて軽いんだ。

段差に斜めに進入するのは慣れているのでですが、いざ段差を超えると楽勝。このあたりのクリアランスは全然問題ない感じです。そして段差を超えた時のショックの少ないこと。あれ、スカイラインでも乗っているのかな?と思うようなお行儀のよさです。

(と、まだ走り出してからのことを書いてませんな)

街乗りは、とにかく「優しい」

走り出しの印象

みなとみらいの平日夕方。交通量はそこそこ多く、試乗に楽しいシチュエーションではありません。が、逆に街乗りでの乗り心地や低速域でのアクセル・ブレーキの雰囲気をつかむにはちょうど良いです。

走り始めは、「とにかく優しい」の一言。乗り心地、アクセルレスポンス、静けさ、どれをとっても過激なところがない。ホントに普通の乗用車みたいです。加給が始まらないくらいのアクセルの踏み方でのレスポンスは良く、ブレーキタッチもいたって普通です。トルクは太いものの、ガバッと出るわけでもなく、スッと前に進んでいきます。この時点で気になるのはステアリングの軽さ。

運転モード切替

マニュアルモードにしてみます。変速レスポンスは、そんなに速くない感じ。Youtubeでの動画では、わりと速いとジャーナリストが口々に言ってたけどな。。ちょっと拍子抜けです。

「スポーツモードにするとちょっと変わりますよ」。ほう。変えてみると、確かにエンジンサウンドがちょっと変わった。いいじゃないですか!そして明確にステアリングの重さが変わりました。何だ、最初からこれにしてくれればいいのに、と思いました。こちらの方がしっくりきます。ただし、ステアリングへのキックバックはかなり小さめです。最近はそういうのが好まれるのでしょうね。

ステアリングフィールは、特段クイックなわけでもなく、ダルいわけでもなく、全体としてひとつの方向性(私は「優しい」と感じました)に向かってキレイにまとめられている感じでした。カーブの時の車の動きも比較的穏やかで、他の運動要素も含めて気分を逆なでする要素がなく、気持ちよくドライブできました。

日産 フェアレディZ(RZ34)のコックピット
日産 フェアレディZ(RZ34)のコックピット。そこまでタイトさはなく、リラックスできる。写真はマニュアル車

ロードノイズ、乗り心地

ロードノイズはけっこう抑え込んでいる感じ。タイヤのゴーッという音の発生源からして押さえられている印象。19インチ(試乗車はバージョンSTなのでこのサイズ。銘柄はブリヂストン POTENZA S007)でこんなに良ければ18インチ(銘柄はヨコハマ ADVAN sport V107。こちらはサイレントフォームというポリウレタンフォームが内側に貼りつけられている)はどうなっちゃうんだろうと思います。GTカーだろう、と予想していた通りの品の良さで、私は気に入りました。

乗り心地も良いです。近隣の道路はけっこう荒れていて轍も多いのですが、ストロークもしっかりしつつ、揺すられることもなく通り抜けていきます。街乗りをしている感じでは電子制御ダンパーがなくても快適。サスペンションとダンパーセッティングは比較的柔らかい感じでした。ワインディングだと少し柔らかすぎるのではと心配になるくらいです。ハードな条件ではワンダリングもして厳しいかもしれませんね。

日産フェアレディZ(RZ34)Proto Spec(たぶん)
日産フェアレディZ(RZ34)Proto Spec(たぶん)

少し踏ませていただきました

日産本社ショールームでの試乗はこれが2度目(最初はGT-R(R35))ですが、ここでの試乗はこちらが緊張します。。法令順守の念書にサインさせられますし。

そんな中、今回の人はそこそこ年齢もいっていて優しい方だったので、トンネルの入り口で「ちょっと踏んでもいいですよ」と言ってくださいました。

横浜に住んでいらっしゃる人なら良くご存知の「試乗御用達コース」です。

幹線道から右にそれて、若干の右カーブをしながら下り、地下トンネルに入るというレイアウト。2速でちょっと踏ませていただきました。

ターボラグ:なし。加速のドラマ:なし。挙動:乱れる。到達速度:〇△□㎞/h。

「出し過ぎ」と一言言われました。気づけばあっという間にイケナイ速度に。すみません。

9速ATのギアはショートなのであっという間にレブリミット近くに達してしまいました。これだけトルクがあると、もう少し2速はロングな方が加速を楽しめるかも、と思ってしまうくらいあっという間でした。

ターボはものすごくレスポンスが良く、トルク変動も少ない感じです。回転もスムーズ。V6にありそうな少しラフな加速時の振動はほとんどありません。

これはすごくいい!3.0リッター6気筒のターボなのでトルクもかなり出ますが、トルクの出方はすごくち密に制御されていて、スルスルッと車が速度を上げていく感じ。その間に変なエンジンノイズもないので、本当にキレイに回転上昇していきます。ここも、獰猛とは全然違う、大人なスポーツの世界がありました。

スポーツモードにするとエンジン音も少し勇ましくなり(調整している音ですが)、こちらは少し豪快でなかなかの雰囲気があります。日産の6気筒エンジンて昔から音作りの方向性にブレがなく、いいなぁと思います。

VR30DDTTエンジン

日産 VR30DDTTエンジン
日産 VR30DDTTエンジン。スカイライン400Rに搭載されているもの。補器類を仕様変更して搭載

このエンジンは、走りにおけるフェアレディZのハイライトだな、と思います。

以前Z34のNISMOモデルに試乗させていただいた時に搭載されていたVQ37VHRは、これはこれで迫力のある魅力的なエンジンでしたが、今回のRZ34のキャラクターからするとちょっと振動、音ともにマッチしない印象です。

VR30DDTTエンジンは、振動が少なく、滑らかに感じます。また、渦電流式センサーでコンプレッサーの回転を直接センシングするなどしてターボラグを減らしているようです。小型のターボチャージャーの採用と相まってターボによってパワーを「絞り出す」という感じがなく、スルスルッとトルク変動なくパワーを増していくところがすごく「大人」な雰囲気。回転振動の少なさもあり、とても上品に感じます。エンジン単体で見ても魅力的ですが、今回のフェアレディZの商品の方向性に見事に合致していると思いました。

さらに、このエンジン音を調整するアクティブ・サウンド・チューニングも、調整音の周波数も9種類から25種類に拡大。BOSEサウンドシステムのスピーカーから出すことで、定位にも無理がありません(GR86/BRZはダッシュボード内中央のスピーカー1か所から出しているため、どうしても違和感が出る)。

こんな感じで細部までコストをかけて「気持ち良さ」を獲得していると思います。

フェアレディZは、商品企画にブレがなく、こうした細部まで気を配っているところが素晴らしいなと思います。

やはりこうきたか!

日産 フェアレディZ(RZ34)リアビュー
日産 フェアレディZ(RZ34)。リアタイヤは大径化したが、さすがにラフなアクセル操作をするとグリップが抜けがち

と、ここでちょっと時計の針を少し戻します。アクセルを踏む前は2速、時速40㎞/h。アクセルを踏んだ直後のことでした。。いともかんたんにリアタイヤがグリップを失いかけ、わずかながらリアがステアリングと反対方向にズルッといくかな?というところですかさず車両安定装置(VDC)のランプが点灯したのでした。

ある程度想定していたので驚きませんでしたが、やはり車の前部に重いものを積んでいて、そこを真後ろから押すように力を加えないとリアがエンジンを中心として左右に暴れようとするのはどうにも止めようがないんだな、と感じました。前後重量配分はAT車で56.8:43.2で、405PSのエンジン出力をリアだけで伝えるわけですから当然といえば当然。逆にクローズドコースでリアを振り出すのは結構簡単そうでした。すぐにVDCが作動してトラクションコントロールと協調制御するため怖い感じは全然ないものの、やはりこう来たか、という印象でした。

また、このときのステアリングフィールはややグニャッとした感じで、なんとなく頼りない感じがしました。

車速が上がってしまったところで40㎞/hまで少し強めにブレーキを踏ませてもらいます。足裏にキックバックを感じるようなことはなく、それほど剛性感は感じないものの普通に制動していました。

試乗を終えて

試乗の始まりから終わりまで、印象は変わらず。「優しい」感じです。無理に過敏に動くようなところもなく、適度に緩い感じながら不快な要素がまったくない。アクセル、ブレーキ、ハンドリング、パワートレインどれもうまく角が取れていて、とてもバランスしている感じがしました。その中で、やはり405PSのパワートレインはグッと踏み込むとスムーズながら後ろから押し出す力は強く、かなりの爽快感がありそう(一般道ではほとんど味わえないのが残念です)でした。

少し長い距離を走っても疲れず、気合を入れなくてもエンジンが太いトルクで走らせてくれ、気楽なのにちょっと刺激的。エクステリアデザインも含めて、品の良い大人な車だなと思いました。その点は、個人的には期待以上でした。しかも、いかにも「高級車ですよ!」という感じで作っていないのがまたいいところ。

逆に、この車にリアルスポーツを求めたら、ちょっとがっかりするかもしれません。特にアメリカ人のレビューでは、シャシー性能がとかコーナーリング性能がどう、とかいうのが多いのですが(アメリカ人はアメ車っぽい「ユルい」車に対して厳しい。どこの国でも自国のプロダクトに厳しいのは同じなんですね。笑)、たしかにそういった面ではツッコミどころがたくさんありそうだからです。でも、個人的にはZってそもそもそんな目を吊り上げて走る車だっけな、と思っています。日産にとってもGT-Rはタイムを削る車、Zは運転して笑顔になれる車、というふうにキャラクターを作り分けていると思います。

ということで、個人的には期待以上の車だったので、ちょっとすがすがしい気持ちで本社ショールームを後にしました。

日産 フェアレディZ(RZ34)。色はバーガンディー
日産 フェアレディZ(RZ34)バージョンST。色はバーガンディー
日産 フェアレディZ(RZ34)バージョンST。色はセイランブルー / スーパーブラック
日産 フェアレディZ(RZ34)バージョンST。色はセイランブルー / スーパーブラック
日産 フェアレディZ(RZ34)バージョンST。色はセイランブルー / スーパーブラック

おまけ:ポルシェ 718ボクスター GTS 4.0に乗り換えて

ポルシェ 718ボクスター GTS 4.0に乗り換えたときの感想

その夜は、息子と流星群を見に、ポルシェ 718ボクスター GTS 4.0に乗って箱根を目指しました。乗り換えてみると、全く別のカテゴリの車だなと再認識。何せ、着座位置が低い。

オープンボディでねじり剛性も曲げ剛性も718ケイマンの半分くらいしかないのに、特に足回りから感じる剛性感、真っすぐ進むときのしっかりした手ごたえ、カーブの時の全くぶれのないハンドリングとヨーモーメントの少ないボディの動き、アクセルを踏んだ時の精度の高く振動の少ない回転上昇、座席の後ろからしてくるフラット6自然吸気エンジンの咆哮、ブレーキのタッチ、シフトチェンジの驚異的な速さなど、これは別世界の車でした。

日産 フェアレディZは独自路線

そこで改めて思ったこと。確かに、718シリーズはこのカテゴリのベンチマークになっている車です。でも、そこに対抗しない(そんなことを意に介さない)というフェアレディZ(RZ34)の選択は良いなーと改めて思いました。

試乗する前に思ったのは、開発予算や設計の制約などがある中で何とかベンチマークに追いつこうとコンプレックス丸出しになったり、スポーティさを印象付けようと足回りをガチガチに固めたり、ステアリングの切り初めを過敏にしてみたり、スロットルを早開けしたり、変な音の演出をしたり、みたいなせせこましさが乗り手に伝わってきたらいやだなぁということでした(食材費がないのに無理に高級イタリアンぽい料理を作ろうとするみたいな感じ?)。

でも、走ってみるといい意味でおおらかで、品がある(ガツガツしていない)。かといって快適なおじさん車一辺倒ではなく、405PSのV6ターボなど日産車らしい豪快な部分もある。いろんなところにヘリテージへのオマージュが散りばめられている。そんなところも楽しい。

商品企画としての制約(特にエンドユーザ向けの価格をかなり抑えなくてはならないところ、また台数から割り出すと開発費も限られること)、ハードウェア的な制約(共通部分のプラットフォームの設計も古く、必ずしもスポーツカーに最適化されていない)もかなり大きいであろう中で、こうした「わが道を行く」的なスタンスは個人的にはとても好きです。こうした思い切りができるのも多くの熱心な固定ファンがいるからこそ。さすが50年以上も愛されてきた車だけあるなぁと思いました。

フェアレディZはコンセプトにブレがなく、カッコよさも相まって(これは主観的な要素が強いので、このカッコが嫌いという人には全く刺さらないと思います)とても魅力的な車だなと思いました。

個人的には、やっぱり海辺をゆったりクルージングして、駐車場で車を眺めてニヤニヤしたい。

早く乗りたいです!

日産 フェアレディZ(RZ34)ベースグレード。色はプリズムホワイト / スーパーブラック
日産 フェアレディZ(RZ34)ベースグレード。色はプリズムホワイト / スーパーブラック。(私が注文したのはベースグレード、セイランブルー / スーパーブラックです)
日産 フェアレディZ(RZ34)ベースグレード。色はプリズムホワイト / スーパーブラック

実況中。日産 フェアレディZ(RZ34)の注文から納車まで。納期と価格改定情報も。

日産 フェアレディZ(RZ34)の購入に至るまでとグレード選び

納車後の記事はこちら:

日産フェアレディZ(RZ34)、ついに納車!絶品エンジンに感激!!

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