スバル レガシィ 3代目のセダン(B4)をベースにした限定車、S401 STIバージョンを我が家に迎えてから2024年8月で3年5ヶ月経ちました。製造から20年以上経ったこの車、なぜ乗り続けたいと思うのか、何がこの車の魅力なのか、考えてみました。

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レガシィ、いいよなぁ
レガシィには2009年から2014年まで4代目ツーリングワゴン 2.0GT(BP5、AT)に家族の車として乗っていました。この車は今も現役で、姉が乗っています。

子供の成長につれ、泣く泣く手放しましたが、2021年、S401(3代目のB4 RSKをベースにした限定車)を迎え、7年ぶりのレガシィライフに戻りました。

なんでレガシィに惹かれるのか、自分でもうまく説明がつかないのですが、この車に乗ると、「レガシィっていいよなぁ」としみじみする自分がいます。
なんでこう思うんだろうか、少しかみ砕いてみたいと思います。

エンジン、やっぱりいいなぁ
いろいろいいところのある車ですが、なぜ今のスバル車ではなくてこの車に乗るのか、といろいろ考えてみると、やっぱりエンジンに触れないわけにはいきません。
言わずと知れた水平対向4気筒エンジンの名機、EJ20。

S401に積まれているのはツインターボ仕様の最終型をベースにバランス取りと専用ECUチューンを施したもの。
まず、音が良い(主観的要素も大きいと思いますが)。この代まではいわゆる不等長エギゾーストでドコドコという音が鳴るのですが、3代目ともなると遮音性能がかなり上がり、音が少し遠くから聞こえてきて「上品」になるところがミソ。
この頃のインプレッサの荒々しさとは異なり、BMWの3シリーズやアウディのA4みたいな上品さもあるのに、水平対向特有の個性的な音がするところが好きです。
よろしければ、普通の速度のエンジンサウンドをお聴きください(1分10秒)。
回転上昇の音も、今のスバル車にはない澄んだ、やや高めの音。
エンジン自体も良く回り、ピークパワー発生回転数は6,400回転とそれほど高くないものの、その後7,500回転くらいまでよどみなく回ります。このあたりはショートストロークのエンジンらしい軽やかさがあります。
こちらも少し回した時の音をどうぞ(20秒)。
現代のターボエンジンはなかなかここまで気持ちよく回してくれないので(燃費や排ガスを考えて、回転でパワーを稼ぎに行かない)、このあたりもこの時代ならではの「味」を感じます。
ツインターボは、セカンダリータービンが回った時のパワーの出方(4,000回転を超えてから)が強烈で、この回転域は我が家のポルシェ 718ボクスター GTS 4.0(自然吸気エンジンを搭載)と比べても十分「速い」感じがします。4輪駆動でしっかり路面を捉えているので危なっかしい感じがまったくないのもいいところ。
この時代のターボはタービンが回ってからしばらくして「ドカン」とパワーが出てきます。その時に、「パワーを絞り出す」感じがあって独特の魅力があります。

エンジン、工夫の積み重ね(メモ)
そんなEJ20エンジンですが、同じ基本構造を持ちながら改良を重ね、30年間作り続けられてきたことはよく知られています。レガシィ3代目、4代目になるタイミングでもけっこう手が入っているようなのですが、特に面白かったところをメモに残しておきます。
3代目レガシィにおける改良点
・クランクシャフトからの振動伝達を抑えるスラストベアリング位置を変更(3番ジャーナルから5番ジャーナルへ)
→「クランク系曲げ振動に伴うすりこぎ運動的な2.5次や3.5次の振動」を低減(モーターファン別冊第230弾「新型レガシィのすべて」)
・パワーユニット全体の高剛性化(シリンダーブロック側とトランスミッションケースの結合ボルトを4本から8本に増加)
→「ボロボロ振動とこもり音が低減」(同)
4代目レガシィにおける改良点
・排気系の見直し(いわゆる等長エギゾーストに)
・振動対策
具体的には、クランクシャフトとジャーナル間の熱膨張率の差によって生じるクリアランス変化を抑制するために、アルミシリンダーブロックのフライホイール側ジャーナルに鉄系高強度合金のプレートを鋳込んだこと。
(シリンダーブロックはアルミ製のため、鉄よりも高温で膨張しやすく、クランクシャフトとの間に隙間ができてしまい(0.03㎜程度らしいですが)、クランクシャフトが「暴れて」音を出してしまうらしいです)
これにより主に3000回転以上の振動を低減させたそう。
このアルミニウムと鉄の熱膨張率の違いによる「クランクシャフトの暴れ」問題はほぼ同時期のポルシェの水平対向エンジン(986、996型に搭載されたエンジン)でも似たような対策が施されていて興味深いです。
実際に乗ってみると
じつはこの車、2500回転くらいからしばらくの間、やや振動が大きい回転域があるのですよね。これが上の構造的な問題から発生しているのかどうかは不明なのですが。。
ちなみに4代目レガシィは排気干渉による振動がなくなったことが大きいのか、振動がさらに少なくなっているのが印象的です。
視界の良さと運転しやすいボディサイズ
もう一つ、つい今の車ではなくこの車に乗り続けたい、と思う点は視界の良さとボディサイズ。別の記事も書いた通り、この時代の車はとにかく視界が良い。そして幅も5ナンバーサイズに収まります。形もスクエアなので車幅感覚がとらえやすい。

我が家のメルセデス・ベンツ GLB(全幅1845㎜)から乗り換えると、「ホント横幅が狭いって運転しやすいよなぁ」と実感します。

飾りっ気のないインテリア
インテリアはご覧の通り。この時代のインパネとして特筆すべきところはあまりありませんが、全般に緑系の発光体を使っているのが目につきます。この頃のスバルは目が疲れにくいようにと、この色を多用していたようです。(写真がないので撮ったら追加します)

また、全般に計器盤の文字なども見やすく、ドライバーズカーとして装飾の少ない、実質本位の作りになっています。

絶妙な足回り
足回りは、RSKをベースに、ダンパーを専用チューニング。今は電子制御ダンパーを使って街乗りを柔らかくできますが、こちらはかなり「硬派」。21世紀初頭のハイパフォーマンスセダンらしい硬さです。それでも足回りのしなやかさは確保されていて(いわゆる、角の取れた乗り心地)、なかなかいい車に乗っているぞという感触があります。
当時、真面目にいい走りの車を追求して足回りにもお金をかけていたのでしょう、今乗ってみても全然古い感じはありません。
特にフロント周りに入った補強(※)のおかげで、フロントヘビー(前後重量配分60.0:40.0)ながらフロントはひっかかりなくすんなりと内側に入り、前述の足回りも相まってほとんどロールすることなく旋回姿勢に入ります。
(※)フロントの主な補強ポイント。その他のベースモデルに対する変更箇所についてはこちら。
・フロントストラットタワーバー
・フロントクロスメンバー取付部の剛性アップ
・エンジン・トランスミッションマウント強化
・ブッシュ類の強化
もちろん、フロントに入ったLSD(シュアトラック)も効果を発揮しています。ヘリカル式のLSDで比較的効きが穏やかかつスムーズといわれており、ちょうどS401のキャラクターにピッタリ。通常モデルと比べればその差もわかると思いますが、単独で乗っているとわからない程度です。「フロントが重いのに、この車あまりそういう感じがしないな」という程度には効いていると思います。
旋回姿勢はコーナー脱出まで終始安定しています。途中でアクセルをラフに踏んでもトルクステアも出ず、姿勢変化も小さいです。こんなところにはフロントLSDの効果が出ていると感じます。
ちなみに、リアにはLSDは入っていません。フロントヘビーで、あくまでもフロント中心に回頭性を向上させようということと、車の性格からして極端な姿勢制御を嫌ったから(リアは追従に徹して、積極的に曲げに行かない)かなと思います。

その昔ベストカーのつくばアタックで1分08秒03が出た(WRX STI(VAB)の初期型が1分08秒02)ことからも、なかなかの俊足ランナーであることがわかります。
下記は中谷明彦氏によるインプレッション(この時のタイムアタックでも1分08秒09でているようです。)
2003 レガシィS401 STI 筑波アタック!!【Best MOTORing】(YouTube)
今この車に乗って、懐かしさだけでなく乗っていて楽しいと思えるのは、やっぱり足がしっかり作り込まれていたからだろうと思います。
とはいえ、例えば最新のシビックタイプR(FL5)などと比較すると、足回りは「硬い」です。また、トレッドが狭いこともあり、車の動きは少し神経質。タイプRのような「泰然」とした動きとは異なります。でも、逆に車が道路の凸凹などの環境を敏感に拾い、表情が豊かです。「車が動いているなぁ」と実感します。
ちなみに、4代目レガシィ ツーリングワゴンの2.0GT(最終型)と比べると、かなり足回りは締め上げられていますが、その分荒れた路面での底づき感も少なく、ロードホールディングは良く感じます。
不満
不満は2つくらい。
ステアリングフィールはいまひとつ
これには二つ要因があります。
一つは油圧パワステの制御。
スバルはパワステの制御には苦労しているようで、3代目レガシィも後期型から、一部車種を除いてこれまでの車速感応型からエンジン回転数感応型にある意味「退化」した変更をしています。
これは、車速感応型だとサーキット等で急減速・急激なハンドル操作をした際にパワステの制御が追いつかず、ハンドル操作に違和感が出てしまったためといわれています(具体的には制御が追従しきれないために急減速後のハンドル操作時に「重さ」のように感じるひっかかりが残ってしまうなど)。
その後4代目までこの改良型の「エンジン回転数感応型」を採用し続けるわけですが、3代目レガシィにおけるセッティングはこれはこれで微妙です。
ステアリングは低速は比較的重い一方、高速巡航時には軽すぎるように感じます。高速では空気の整流の関係もあるのか車の接地感がやや低下するため、ステアリングの軽さと相まってあまり安心感がありません。特に高速でレーンチェンジするときや首都高のようなきついRの時に感じます。車に安定感がないわけではないので、このように伝わってきてしまうのは残念な感じがします。

もう一つは取り付け部の剛性(だと思う)。
3代目までは「ゴムラバーを介して板金クランプで固定」(モーターファン別冊第326弾「新型レガシィ(4代目)のすべて」)しているためか、センター付近がやや曖昧な印象。
フロント縦置き水平対向エンジンのためステアリング配置のむずかしさがあるとも聞きますが、ステアリングフィールが大幅に向上した4代目と比べると、この点が一番古さを感じるところです。
スバルもそこは認識していたのでしょう、4代目ではギアボックスのマウント方式を変更し、ステアリングラックの太さを23㎜から26㎜に上げ、油圧系統にダンパーバルブを採用するなど大きく手が入りました(ギアレシオも16.5:1から15.0:1に変更されました。ただしS401は15.0:1なので4代目と同じ)。素人が運転してもその差は歴然、フィーリングは(4代目で)かなり良くなりました。
各部からしてくるビビり音は大きめ
経年劣化で仕方ないのかもしれませんが、ダッシュボード付近からのビビり音は大きめです。製造から35年経っている我が家のメルセデス・ベンツ W126はほとんどこうした音がしてこないので、やっぱりこのあたりはやや残念なところ。
この車には、乗り続けたい魅力があふれている
と、いろいろ書いては来たものの、全体を見ればやっぱりこの車は乗り続けたい魅力にあふれています。

なぜ今のスバル車ではなくこの車なのか、なぜ2000年前後のいろんな車の中でこの車を選んだのか?
改めて考えてみると、私にとっては下記がすべて満たされた稀有な車、ということになるように思います。
・ファミリーカーとしての実用性を確保しつつ、
・高級ではなく実質本位で、
・本格的なドライバーズカーを目指して真面目に作られていて、
・四輪駆動でどんな天候でも気兼ねなく走れて、
・ボディサイズが大きくなく、視界も良いため運転しやすく、
・水平対向エンジンなど、他の車では味わえない独特なフィーリングがある
個人的にはデザインも推しポイント。3代目レガシィのデザインは無駄がなく、華やかさはないものの質実剛健なこの車の個性を体現しているように感じられて好きです。



私の中ではライバルといえそうな車はアウディ A4(B6型)でしたが、当時から私は迷わずレガシィでした。笑
今のところ、私としては候補になるライバルは、レガシィ4代目の6気筒モデルです。本気でレガシィ2台持ちしたいところです。











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