日産 フェアレディZ(RZ34)も、2025年3月17日に納車されてから1,000㎞走破しました。
こちらもアクセルべた踏み!走ってみて、シビック タイプR(FL5)とまったく違った魅力を発見しました。
今回は、その模様をお伝えします。
(今回は息子が撮った写真を使わせてもらいました)
納車直後の(左脳的)レビューは下記:
日産 フェアレディZ(RZ34)、ついに納車!絶品エンジンに感激!!
注文後に初試乗した際のレビューは下記:
ポルシェ 718ボクスター GTS 4.0との詳細比較は下記:
【比較】ポルシェ 718ボクスター vs 日産 フェアレディZ(RZ34)(第1回) 良く比較される、全然似てない車
【比較】ポルシェ 718ボクスター vs 日産 フェアレディZ(RZ34)(第2回) ワインディング編:コンテスト酒と地酒が対決!
序章:まずはべた踏み!
前回、シビック タイプRで初めてべた踏みした時の動画(20秒くらい)を掲載したところ大変好評でしたので(笑)、まずはそこから行きたいと思います。
フェアレディZの魅力を凝縮しているかもしれません。
ちなみに、正確にはべた踏みはできていません。ハイパワーFR車には乗りなれておらず、日産のVDC(車両安定化装置)の癖もまだわかりませんので、無謀なことはできないためです。
どうしたらフェアレディZ(RZ34)の魅力に迫れるか?
さて、本題です。
前回の記事でも書いたとおり、フェアレディZ(RZ34)はそれなりに気になるところがある車で、いつものアプローチではいまいち魅力が伝わらないのでは?と考えました。
私の左脳は「ちょっと変な動きをする車だな」というのですが、私の右脳は、「でもなんか理屈抜きに楽しくないか?」といいます。
さらに、右脳は「ポルシェやシビック タイプRを見る目では全然見えてこない魅力が、フェアレディZにはあるんだよ。」と私に語りかけてきます。
そうだ、今回は少し右脳を解放してみよう。
今回はいつもとちょっと違ったアプローチで、この車の魅力に迫ろう、と思います。

RZ34の気になる動き
フェアレディZ(RZ34)にはこんな車の動きがある、と紹介しました。
「轍にハンドルとられやすいな」
「低速トルクなさすぎて発進時にエンストしそう」
「クラッチはけっこう手前でミートな。後ろ下がっちゃいそう」
・・・
そんな感じで洗礼を浴びます。好きになれるのかな?
納車直後のドライブはRZ34の特有の扱いにくさもあり、なんだかもやもやしたまま終わっていました。

Zファンとの会話
そんな時に、往年のZファンと話す機会がありました。
「昔のZはまっすぐ走らなかったよ。まともになったよねぇ」
そ、そんな目を細めて言わなくても。
でも、うれしそうでした。
相棒を慈しむような感情にあふれていました。
「この感情ってなんだろう?」

自分の行動パターンを変える!
私はいつもの癖で、頼まれてもいないのに、同じ場所を同じように走ります。
その方が車のことがわかるだろうから、という理由です。
その時、フェアレディZ(RZ34)はこう返してくるように思えました。
僕そういうところあんまり得意じゃないんだよね。
いや、そんなしかめっ面して乗っててなんか楽しいの?それより、3,000回転回してみてよ。僕の得意なところ見せてあげるから。その方が楽しくない?
そうだ、やめた。
フェアレディZが生き生きする場所を探して、走らせる。
その方が楽しい。
自分の行動パターンを変えてみようと思いました。
私には依頼者はいないのだから。

生き生きしない場所
あれれ。そう宣言したのに、RZ34が苦手そうなところから行く?
最初にネガティブシンキングなのはいけない。
でも、書いておきます。
街乗り。
コンフォートなGTカーならこういうところは得意そうだ、と思いました。
・・・全然。
なぜか?RZ34、過剰に親切だからです。
EPS(電動パワステ)は、極低速域ではめちゃくちゃお手伝いしてくれる。ファミリーカーかと思うくらいアシストが強い。
さらに悪いことに、轍に手を取られてもお手伝いしてくれます。
結果、ぐらぐらする。気持ち良くありません。
全体に、饒舌すぎる印象。
だってハンドル重いと疲れるでしょう?やっぱりそれって良くないと思うんだ。僕はみんなが疲れた顔をみたくないし、みんな笑顔で乗ってもらいたいんだ・・・
ごめん。
俺、自分でステアリング回せるよ?(まだ50代前半)

別人
ところが、中速ワインディングに持ってくると、この車、全然印象が異なります。
最初の試乗の際に「カーブの少ない海沿いの道を走るのが楽しそう」と思っていたのですが、連れてきたのはそれよりももう少しカーブの多い道。
2,000回転。エンジンの音はハミングするみたいで気持ち良い。重すぎず、かといって軽すぎない、延々と繰り返す脈動音。催眠効果でもありそうな音です。

少しアクセルを踏みます。速度が上がる。
60㎞/hくらいからEPSの手応えがしっかりしてきます。
ほら、このほうが断然いい!
車も素直に動きます。
ダイレクトで痺れる、というほどではないけど、それと引き換えに乗り心地が良い。ハンドルの手に汗握る、とは別世界の、余裕のクルージング。
3,000回転。ここからの加速は別人です。
2,000回転でもレスポンス自体は良く、余裕のある加速を見せていたのですが、3,000回転を超えると、「おー、これはすごいな!」という驚きが。
音も哀愁を含んでいて、高揚感はあるのに絶叫とは無縁です。声量もあります。
すごい。
RZ34からは、こんな声が聞こえてきました。
「ね、いいでしょ。これを見せたかったんだ。」

別人2
カーブの入口で路面がうねります。
RZ34のような、フロントヘビーで絶対重量も大きい車では、入り口から脱出まで、緊張を強いられるシチュエーションです。
ちょっとオーバースピードかな。
ん?
ノーズは嫌がらずに内側に入っていきます。にもかかわらず、入った後の挙動の変化も大きくありません。素直。
でこぼこのてっぺんを超えると一瞬ボディは伸びあがるもののすっと路面に吸い付くように戻ります。
また、RZ34の声が聞こえてきました。
「ね、街乗りではちょっとサービスしちゃったけど、ああいうところは正直苦手で。どうしたら気持ちよく走ってくれるか、分からないんだ。でもね、じつはこういうところをスムーズに走れるように鍛えてきたんだよ。鼻先だって重く感じないでしょ?かといってインチキじゃない。ちゃんとトレーニングしてきたからね。」

意地悪の結末
「確かに気持ちいい。でも、簡単に乗せられてたまるか。」
ちょっと意地悪をしたくなります。
RZ34があまり得意そうでない、きついカーブと荒れた路面の組み合わせ。あー、やっぱり左脳を抑えることができない私。ビョーキかな。

速度が落ちると確かにEPSのアシスト量が増してきてちょっと気持ち悪い。
でも、なんか、あれ???こんなに意図通りに動くの???
RZ34、また語りかけてきます。今度はなんかもうちょっと大人っぽい。
「へへん、音を上げると思いました?意外に私頑張りますよ。
でもそれというのも、あなた最初に乗った時に比べて、ハンドルの入り少し早くなったし、アクセルの開け方もちょっと丁寧になってますよ。私好みの運転をしてくれてるんです。」
しまった。そうだったのか!
一本取られたな。

街に戻る
どうしても行きと帰りは街乗りになります。戻ってきました。
正直、あまり気持ちは盛り上がりません。EPSは過剰におせっかいなのに、クラッチは親切でないし、エンストしやがれと言わんばかりの低回転トルクのなさ。
ええっ?エンストしないぞ?ギクシャクもしない。
あ、それに斜度があるとたいてい、坂道発進でホールドしてくれてるんですね。
またまたRZ34が語りかけてきます。
「慣れてきてくれたんですね。いつの間にか私に波長を合わせてくれてるんですってば。」

相棒

何だろう、また乗りたくなってきました。
RZ34、ちょっと不器用なところあるけど、いいやつだな。
雨が降ってきました。
あいつはどんな走りをするんだろう。豪快にテール振っちゃってさ、おお、怖!とかなるのかな。
それとも、意外に大人しく、そつなくこなしちゃうのかな。
なんだか妄想してしまいます。
雨だけど、いや雨だから、乗っちゃえ!

まとめ:対話が楽しい車

ひと癖もふた癖もある日産 フェアレディZ(Z34)。速く走りたい、意のままに走りたい、と思っていると、ちょっとつまづく。車が「道具」に徹してくれるのではなく、なんだか主張してくるのです。
最初はそれに戸惑っていたのですが、次第に、こういうところではRZ34はどういう動きをしてくるんだろう?と妄想してしまうようになりました。
また、エンストしそうな低回転トルクの細いエンジンも、手前までかなり長い距離半クラッチ領域のあるクラッチも、慣れてくるとエンストしなくなります。こんな些細なところでも、「どうだい、みたか」とどや顔したくなります。
RZ34の特性を理解して、その特長を生かすような走りをしていくと、期待に応えてくれます。

いつの間にか、そういった「キャッチボール」が楽しくなってくる自分がいました。
ちょっと面倒くさいけど、対話が楽しい相棒、そんな感じです。
とても人間味(機械の味)があります。
これって、ちょっとクラシックカーに乗る楽しみにも似ているかも、と思いました。
「進化」の観点でいえば、シビック タイプR(FL5)などは究極の進化形かもしれません。
誰が運転しても思った通りに動き、速く走れる。なのに乗り心地もよい。それが「進化」というのであれば、シビック タイプRのような車は、その最右翼。
一方、フェアレディZ(RZ34)は、愛されるよう「適応」してきた気がします。ちょっとクセがあるけど、愛嬌があって、ちゃんとキャッチボールすれば意外に懐の深い走りを披露してくれる。これはこれで、すごく面白い。
こんな多様性があるのも車の面白さ。これだからやめられないな、と思いました。

最後に、最近見た初代フェアレディZの開発秘話へのリンクを貼っておきます。生々しい情熱が伝わってきて、胸が熱くなります。










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