メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC 納車直後レビュー(前編)から読む

2023年8月にわが家に納車されたメルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC、納車後約3週間で500㎞あまり走りました。納車直後のレビュー、後編は安全運転支援システム、乗り心地、静粛性、使い勝手、いいなと思った点、気になった点、燃費をお伝えします。

GLB 200d 4MATIC: 静粛性ファーストインプレッション

走り出してまず感じるのは、思ったよりも静粛性が高いということです。最新のメルセデス・ベンツ Cクラスなどに比べるとうるさいはずなのですが、エンジンの透過音がそこまで小さくない分、ロードノイズやガラス越しに入ってくる音がうまくかき消されて、けっこう静粛性の高い(嫌な音が突出しない、音のバランスが良い)快適な空間になっています。

ガラスはフロント、サイドともに遮音ガラスなのか(たぶん違うはず。ちなみにAGC製です)、セミの音などの透過音が小さいように感じます。

特に足回りからの音の侵入は意外に小さく、びっくりしました。代車でCクラス(W206)に乗った時にはロードノイズが比較的大きいと感じたので、ここは驚いたポイント。タイヤの銘柄はピレリ P Zero PZ4のMO(メルセデス認証タイヤ)で、グリップタイヤでもあり決して静かではないはずなのですが、良くロードノイズを抑え込んでいると思います。ファミリーカーとしてこの静粛性は優秀ではないでしょうか。

(※9/16追記: スバル レヴォーグ レイバックの記事を読んでいたら、ロードノイズが小さいのはSUVの場合最低地上高が高く、タイヤとホイールハウスの間に空間があるから、というのを発見しました。なるほどー。構造的にロードノイズには有利なんですね。)

メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC のタイヤ
タイヤサイズは235/50 R19。タイヤ銘柄はピレリ P Zero PZ4だが、思ったよりもロードノイズは抑えられている

メルセデス・ベンツ C200 4MATIC(W206)の試乗記はこちら

GLB 200d 4MATIC: 乗り心地ファーストインプレッション

乗り心地はどうでしょうか?まだ妻の運転に付き合う形で短距離助手席、2列目に乗っただけなので、後々印象は変わるかもしれませんが、納車直後のレビューを。

2列目シートの座り心地

シートはドイツ車らしい硬めの感触。

2列目の座面は少し短め。3列乗ることを考えると、あまり座面長は取れなかったのでしょう。

メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC の2列目シート
GLBの2列目シート。シートは硬め、座面はやや短い。

ちなみに、2列目シートは写真のようにリクライニングできます(8段階)。また、シートスライドもできるので、3列目を使わない場合はもう2列目シートを後ろにスライドすることも可能です(スライド量は140㎜。日本のミニバンほど大きくありません)。

メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC の2列目シート。リクライニングしたところ
2列目の右側シートをリクライニングしたところ。このように分割は6:4になっています。

走行中の乗り心地

乗り心地は、ドイツ車に乗り慣れている人からすると「良い」と感じると思います。ただ、そうでない人からすると、「硬くて乗り心地が悪い」と感じるかもしれません。

基本的には「前編」の走りの部分で書いた通りの印象で、横へのゆすられ感が非常に少なく、振動自体は少ない方です。縦方向もマルチリンクのサスペンションのためかガツンという突き上げ感はなく、初期の当たりはマイルドで、かつ収束が良いので酔いにくいと思います。このあたりはトーションビームではなかなか得られない(サスペンション以外でかなり頑張らないと難しそう)乗り心地だと思います。

加速・ブレーキの際のノーズダイブ・スクウォートも小さめ(要は加減速の時に車がつんのめったりのけぞったりしにくい)。

一方で、ストロークはたっぷりしているもののスプリングとダンパーのセッティングはやや硬めで、ボディ骨格の剛性の高さも相まって、ソリッドな感じがします。

全体としては1世代前のCクラス(W205のコイルスプリング車)と共通した雰囲気。メルセデス・ベンツはこのクラスのSUVに、セダン的な乗り心地を与えようとしているように感じます。(逆にメルセデス・ベンツの最新セダンはもっとゆったりしたフィーリングですが。)

ただ、電子制御ダンパーがないためか、少し速度が上がったところでは少しコツコツという感触があります。電子制御ダンパーがあればもう少し柔らかくできるところかも。

お勧めできる人・できない人

全体にドイツ車のセダンのような味付けなので、優しい感じの乗り心地が好きな方からすると、ちょっと期待と違うのかもしれません。

ドイツ車に乗り慣れている方、国産車でもマツダやスバル車など、欧州車に似た設計思想とセッティングの車に乗って、乗り心地が悪いと思わない方にはおすすめできます。

GLB 200d 4MATIC: 安全運転支援システムのファーストインプレッション

安全運転支援機能のレビューは別途したいと思いますが、ひとまずの感想は「操作は簡単、ただメルセデスくんの(自動)運転には慣れが必要」というところです。

メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC のメーター
右のメーターリングに安全運転支援の画面を表示したところ

操作は、ボタン一つでステアリングアシストからアダプティブクルーズコントロールまですべて作動させることができます。これはメルセデス・ベンツ伝統の考え方。

(いわゆる)自動運転については、2点特に気になりました。

※GLBの安全運転支援システムはレベル2のため、自動運転というと語弊があります。ここでは、車がアクセル・ブレーキやステアリングを自動制御している状態を便宜的に「自動運転」と呼んでいます。

1点目はブレーキを踏むタイミング。タイミングが遅く、メルセデスくんを信じるまではけっこう怖く感じます。(特に前の車が下手で急アクセル、急ブレーキを踏むともろに影響を受ける)

2点目はステアリングアシスト。高速で追い越し車線で左カーブをすると、キープレフトをしてくれないのでガードレールにぶつかるんじゃないかとひやひやします。

ただ、高速での渋滞、東名高速道路などカーブの少ないところでは非常に楽だったということをお伝えしておきたいと思います。

※運転者がハンドルを握っているかどうかはトルクセンサーで感知しているため、長い直線だとハンドルを持っていてもアラートが出てしまいます。アラートを消すにはハンドルを左右どちらかに少し動かす必要があります。

2023年後半(日本では2024年と思われる)のマイナーチェンジ後は、センサーが静電容量式に変わるため、ハンドルに触れさえすればアラートはなくなります。ただ、センサーを埋め込むためにステアリングホイールの触感はフワフワしてものになってしまうと思われます。

メルセデス・ベンツ GLBのステアリングホイール
GLBのステアリングホイール。安全運転支援システムにおける運転者のハンドル保持はトルクセンサーで行っている

GLB 200d 4MATIC: 使い勝手ファーストインプレッション

3列目はまだ使っていませんが、3列目を倒して荷物を載せたときに、「思いのほか荷物、載らないかも」と思いました。7人乗った時にどうか、3列目の乗り心地とともにレビューしたいと思います。

メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC の荷室
荷室。あまり余裕はないかもしれない。

メモリー機能付きシートアジャスター

メモリー機能付きシートアジャスターは良いですね。特に着座位置を低めにセットするとヘッドアップディスプレイの位置を微調整しないと(ディスプレイが)見えなくなってしまうのですが、それをいちいち調整するのは面倒。その時に、ユーザープロファイルごとにシート位置とヘッドアップディスプレイの位置を記憶させておけるのはとても便利です。

メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC の助手席パワーシート調整スイッチ

助手席も、末っ子と長男が取り合いになるのですが、座った時の好みのシートポジションが違うのです!これも、「僕は3番」とか割り当てを決めておいて、座った時に自分の好みにすぐ調整できるので便利なようです。

2列目の乗降性

うちは母の足が悪く、ミニバンのセレナ(C26)に乗り込むのに苦労していたのですが、GLBの2列目にはすんなり乗り込めました。このあたりは別途詳細をお伝えしたいと思います。

おまけに、オプションパッケージについてきたブランドロゴプロジェクションライトの写真を載せておきます。これはけっこう恥ずかしいぞ。

メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC のブランドロゴプロジェクションライト

同乗者からの感想

いつもの通り家族からの印象はなかなか聞けないのですが、聞き出せたところを紹介します。

・静か

・乗り心地は良い(実際酔いやすい末っ子が全然酔っていなかった)

・アンビエントライトはイヤらしい(←白色にしました)

言葉が少ないだけ、真実を語っているような気がします。笑

その他、GLB 200d 4MATICのいいなと思った点

その他、いいなと思ったのはMBUX(Mercedes Benz User Experience)の音声認識機能の精度。私が持っているポルシェの音声認識は本当に笑っちゃうくらいひどいので、ネタにする以外は使ったことがないのですが、メルセデス・ベンツの音声認識機能の精度はかなり優秀。日本語にしっかり対応しています。ナビの行き先は音声の方が早いです。アプリを使って事前に行き先を登録するのが一番ですが、乗ってから行き先を変えるときもあるので、音声認識機能の精度の高さは助かっています。

スライディングパノラミックルーフもよいです。うれしい誤算は運転席の私にとっても恩恵があるということ。最近の車はAピラーが寝ているので、サンルーフの前端部分が2列目シートあたりという車もあります。こちらはAピラーが立っているのでサンルーフの前端が運転席からも見えるくらい前にあります(つまり運転席からも空が見える)。その上かなり開口部が広く、しかも開けることもできるので開放感があります。

メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC のスライディングパノラミックルーフ
2列目から見たスライディングパノラミックルーフ
GLBの運転席に座った状態から上を見たときのスライディングパノラミックルーフ
GLBの運転席に座った状態から上を見たときのスライディングパノラミックルーフ

細かいですが、レバーやボタン(エアコン等)の操作感(レバーを倒すときの感触やボタンを押したときの押し心地)も相変わらず良い感じ。ポルシェもそうですが、ドイツ車は総じてレバーやボタン類の操作感が良く、統一性もあります。こういうのは個人的には大事だと思っていて、やっぱりいいなあと思うところです。

GLBのコックピット。ボタンやレバー、トグル等いろいろあるが操作フィーリングには統一性がある
GLBのコックピット。ボタンやレバー、トグル等いろいろあるが操作フィーリングには統一性がある

GLB 200d 4MATICの気になった点

気になったポイントの一番は、フロントガラス、フロントドアガラスの遮熱性の低さです。真夏に乗ったところエアコンを21℃に設定しても暑い暑い。容赦なく太陽光の熱を通してくるので、体の右側と左側で体感温度が違いすぎます。これはフィルム貼らねば。

広瀬○ずでおなじみのAGC製なのですが。。フロントガラスにヘッドアップディスプレイを映すための特殊ガラス(ヘッドアップディスプレイ用ガラスという製品がありましたのでこれですかね)なので、その分耐熱性が犠牲になっているのでしょうかね。。

もう一つはフロントシート。調整幅が大きいことは冒頭に書きましたが、逆に合うポジションをなかなか見つけられませんでした。納車時はシート座面がかなり高めに設定してあり、たぶんですがランバーサポートも出た状態でした。最初に運転した時に腰の上に疲労感が蓄積して、なんかおかしいと思っていろいろ試したところ、私の場合座面を「かなり」下に下げ、シート座面前部を上げて、ランバーサポートを一切張り出させないようにしたところ、かなり改善しました。意外に最適なポジションを見つけるのが大変でした。

GLB 200d 4MATICの燃費

燃費は初給油後、オンボードコンピュータ計測で15.9㎞/l。WLTCモードで総合15.9㎞/lのため、ほぼそのまま出ています。満タン法では若干悪化するとは思います。

通勤で首都高を使った時は20.4㎞/lでしたので、かなり優秀。伊豆を往復した時も家族5人を乗せて、往復18㎞/lを超えていました。

燃料タンクも60L入るため、長距離中心だと800㎞くらい無給油で行けるのでは?という感じです。

Mercedes Meアプリ画面。燃費が見られるのも便利

まとめ

GLB 200d 4MATICの納車直後レビューをお届けしました。

メルセデス・ベンツあるあるなのですが、一つ一つのスペックだけ取るとたいしたことがなくつまらない車に見えてしまう。でも全体としてみるといかに運転者・乗客を疲労させずに目的地まで安全に運ぶか、というところで一本筋が通っており、一見地味に見えるスペック等もその目的のためにちょうど良いものを選んでパッケージングしていることがわかります。さすがタクシーをずっと作ってきたメーカーです。

メルセデス・ベンツ GLBはパッケージングの妙で売れている車で、その意味で日本車っぽい。昔のメルセデス・ベンツファンからすると邪道のような車だと思います。

ネットでも、FFベースのメルセデス・ベンツなんて邪道だとか、Gクラスをデフォルメしたみたいでかっこ悪いとかいろいろ言われているようです。

それでも、芯は全然ブレてないな、やっぱりこれはメルセデス・ベンツだわ、と思う車でした。

そのあたりの神髄(?)をお伝えできればと思いました。

ちなみに、我が家では通勤車の座はポルシェ718ボクスターの座を奪い取りそうな予感。何せ運転が楽で疲れない。さらに、燃費は60%良く、燃料の単価が20%安いとなると、燃料代はざっと半分です。

メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC 納車直後レビュー(前編)を読み返す

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