ポルシェの2024年の世界販売台数が発表されました。年初の「新車投入があり、移行期になるため厳しい」との見通し通りになりました。新車の端境期という個別事情に加えて、ドイツの他の自動車メーカー同様、中国における失速の影響で前年比マイナスに沈みました。
ポルシェの2024年(1月-12月)の世界販売台数:前年比3%の減少
世界販売台数:数値
ポルシェの2024年の世界販売台数は、310,718台(前年は320,221台。3.0%減)になったようです。世界販売台数の減少は2020年以来、4年ぶり。
| 年度 | 世界販売台数 |
| 2016 | 237,778 |
| 2017 | 246,375 |
| 2018 | 256,255 |
| 2019 | 280,800 |
| 2020 | 272,162 |
| 2021 | 301,915 |
| 2022 | 309,884 |
| 2023 | 320,221 |
| 2024 | 310,718 |

世界販売台数:他メーカー並みに減少
2024年はドイツの自動車メーカー各社、そろって中国での販売不振が足を引っ張って前年比マイナスになっています。
| 2023年 | 2024年 | 前年比 | |
| VW | 9,239,500 | 9,030,000 | -2.3% |
| BMW | 2,555,341 | 2,450,804 | -4.1% |
| メルセデス・ベンツ | 2,491,600 | 2,389,000 | -4.1% |
| ポルシェ | 320,221 | 310,718 | -3.0% |
上の表が、ドイツの主要自動車メーカーの2024年の自動車販売台数(グループ全体での販売台数。商用車含む)です。
第4四半期(10-12月)には回復してきたものの、全社マイナス成長。
地域別販売台数:中国が激減、欧米増加。日本も増加
中国市場向けは3年連続前年割れ。2023年に前年比-15%と減少したのに続き、2024年は実に前年比28%減少。2022年比では実に40%近く減少しています。
地域別販売台数:数値
前述の通り、中国が2年連続減少。前年比28.2%減。
| 2023年 | 2024年 | 前年比 | |
| 中国 | 79,283 | 56,887 | -28.2% |
| 北米 | 86,059 | 86,541 | 0.6% |
| ドイツ | 32,430 | 35,858 | 10.6% |
| ドイツ除欧州 | 70,229 | 75,899 | 8.1% |
| その他・新興国 | 52,220 | 55,533 | 6.3% |
| 全世界 | 320,221 | 310,718 | -3.0% |

地域別販売台数:中国と米国(アメリカ)を比較
どれくらい中国が落ちているかを、2023年に最大市場に返り咲いたアメリカと比較してみましょう。
| 中国 | 中国の構成比 | 米国 | 米国の構成比 | |
| 2012年 | 31,205 | 22.1% | 29,023 | 20.6% |
| 2013年 | 37,425 | 23.1% | 42,323 | 26.1% |
| 2014年 | 46,931 | 24.7% | 47,007 | 24.8% |
| 2015年 | 58,009 | 25.8% | 51,756 | 23.0% |
| 2016年 | 65,246 | 27.4% | 54,280 | 22.8% |
| 2017年 | 71,508 | 29.0% | 55,420 | 22.5% |
| 2018年 | 80,108 | 31.3% | 57,202 | 22.3% |
| 2019年 | 86,752 | 30.9% | 61,568 | 21.9% |
| 2020年 | 88,968 | 32.7% | 57,294 | 21.1% |
| 2021年 | 95,671 | 31.7% | 79,166 | 26.2% |
| 2022年 | 93,286 | 30.1% | 79,260 | 25.6% |
| 2023年 | 79,283 | 24.8% | 86,059 | 26.9% |
| 2024年 | 56,887 | 18.3% | 86,541 | 27.9% |
アメリカと中国の差は広がる一方です。

地域別販売台数:他のメーカーはどうか?
JETROは、中国での自動車販売台数は31,436,000台で前年比4.5%増になったと発表しています。(※)
先ほどのドイツのメーカーはどうでしょうか?
| 2023年 | 2024年 | 前年比 | 構成比 | |
| VW | 3,236,100 | 2,928,100 | -9.5% | 32.4% |
| BMW | 824,932 | 714,530 | -13.4% | 29.2% |
| メルセデス・ベンツ | 727,200 | 683,600 | -6.0% | 28.6% |
| ポルシェ | 79,283 | 56,887 | -28.2% | 18.3% |
各社軒並み数字を落としています。特に高級車の多いポルシェはかなりの落ち込み(ただし、もともと中国への依存度は低め)
すでに2023年に始まっていた中国における消費の変調がここにきて長期的なトレンドとして定着してきたことが伺われます。
長期的なトレンドの要因としては下記が考えられます。
1.景気減速で購入価格帯が下がり、高級車が売れなくなってきている。
2.中国経済が急速に内需型にシフトしており、海外メーカーの製品が売れなくなってきている。(実際の消費者の意識調査でも、「中国車の方がドイツ車などの海外メーカーの車よりも先進的でカッコいい」といった結果が出てきており、消費マインドが変わってきていることがわかる。)
地域別販売台数:日本も増加
日本市場における販売は大幅増加。近年まれにみる増加です。世界販売台数に占めるシェアもほぼ3%まで上げてきています。
| 販売台数 | 構成比 |
| 6,887 | 2.9% |
| 6,923 | 2.8% |
| 7,166 | 2.8% |
| 7,192 | 2.6% |
| 7,284 | 2.7% |
| 7,009 | 2.3% |
| 7,193 | 2.3% |
| 8,002 | 2.5% |
| 9,292 | 3.0% |

モデル別販売台数:EV失速、カイエンと718が二けた増加
モデル別販売台数:数値
モデル別にみると、下記の通りになっています。
| モデル | 2023年 | 2024年 | 前年比 |
| カイエン | 87,553 | 102,889 | 17.5% |
| マカン | 87,355 | 82,795 | -5.2% |
| 911 | 50,146 | 50,941 | 1.6% |
| 718 | 20,518 | 23,670 | 15.4% |
| タイカン | 40,629 | 20,836 | -48.7% |
| パナメーラ | 34,020 | 29,587 | -13.0% |
モデル別販売台数:カイエンが増加、そして718も。タイカンは半減
今年はカイエンが1年を通してモデルチェンジ効果が出たため17.5%の大幅増加(昨年は8.1%の減少)。10万台に乗せました。
マカン(5.2%減少)についてはEV版が18,278台。並行販売していた既存のガソリンエンジン版が64,517台。ヨーロッパではすでにガソリンエンジン版は終了しており、その影響が出たとのこと。ですが、EV版も世界的な需要の減速で、ガソリンエンジン版も出すかどうか、モデル戦略の見直しを迫られている模様。
パナメーラ(13.0%減少)は中国における需要の減少とのこと。ニューモデルの投入ではあったのですが、なかなか厳しい数字(前年も端境期のため0.4%減少)
タイカンは半減(48.7%減)。まさにEV需要の減退を体感するような数字(すみません、寒すぎます)。特に中国での落ち込みが大きいようですが、中国人へのインタビューでも別にタイカンは欲しくない、別に先進的ではないし、みたいなことを言われていて、ポルシェの中国市場でのプレゼンスはどうもかなり落ちてきているようです。
911は微増(1.6%増)。昨年の24.1%増に続いて好調。後期モデルの発売効果が通年では効いていないようで、特にアメリカでは減少しています。来年は通年でマイナーチェンジ効果が出てくるので増加するのではないでしょうか?
718は15.4%増と、嘘みたいに好調です。昨年に続く二けた増。6気筒NA投入の効果は如実に出ているというところでしょうか。ガソリンエンジンへの強い需要が感じられます。特にアメリカでは718シリーズ発売以来過去最高の販売台数になりました。BEV版については不透明な要素も大きく、いろいろ報道されている通りガソリンエンジン版も出てくるかもしれません。
下記に、911と718の世界販売台数の推移(グラフ)を掲載しておきます。
数字入りの詳細は下記にて掲載してあります。
【資料】ポルシェ ボクスター / ケイマン / 718シリーズの販売台数推移


ポルシェ、2025年はおそらく販売増だろう
ポルシェの2025年に向けてのステートメントでは、かなり無難なことを言っています。2024年が「厳しい」と明確に期待値を下げていたのに比べると穏やか。
この感じだと2025年は中国や世界景気に対する懸念はあるものの、モデルチェンジの効果がフルに出る年として期待しているものと思われます。
4つのモデルは、おそらくパナメーラ(23年11月発表済)とマカン(24年1月25日発表)、タイカンのビッグマイナーチェンジ(時期未発表)、911の後期型(時期未発表)のことだと思います。
時価総額がピーク時の3分の2程度まで落ちているポルシェ。このあたりで企業業績の好調さで期待値をあげていきたいところだと思います。
(※)2024年の自動車販売台数は前年比4.5%増、新エネ車は初の1,000万台を突破(JETRO)
関連記事:【資料】ポルシェの販売台数推移










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