今回は、メルセデス・ベンツGLB(X247)のグレードを選ぶ際の検討ポイントを、我が家の実例を含めて紹介します。

※掲載しているのはMP202501モデルです。一部、写真にMP202401またはMP202402のものが使われています。

グレードの選択肢

メルセデス・ベンツ GLBにおいて、現時点(2024年8月)で選べるのは下記の3モデル。

1.GLB 180

2.200d 4MATIC(4MATICはAWD、四輪駆動のこと)

3.AMG GLB 35 4MATIC

これらの中から選んでいきます。

グレード選びのポイント

グレード選びは、装備に関する違いがかなり少ないため、基本的にはパワートレーンと駆動方式で選ぶことになります

街乗り、しかも近場中心で乗るなら

ガソリンエンジンの方がメンテが楽ですし、FFで十分だと思います。そうなると180。180は2024年6月のモデル(MP202402)から10kW / 1,500 – 5,100rpm、58Nm / 50 – 1,300rpmのモーターがつくようになったため、発進加速を中心に非力さが改善されていると思います。

(従来GLB 180はよく「GLB180 パワー不足」と検索されていたようですが、ガソリン車の場合街中で感じるのは低回転域でのトルク不足だと思いますので、モーターが付いたことでかなりトルク不足感はなくなったのではないかと思います。

また、どうしてもディーゼルは嫌い、という方もこの選択肢が有力かもしれません。(個人的には最近のディーゼルは乗ってみるとなかなか良いと思っているのでおススメではありますが)

※ディーゼルエンジンの場合はDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)によって有害物質(PM)を除去しますが、装置内にたまったPMを除去させるために高温の排気ガスと走行距離が必要です。そのため短距離走行を繰り返すとフィルターが目詰まりを起こしてしまう問題があります。

ハイパワーな車に乗りたい方は:

AMG一択だと思います。

雪道も走る、という方は:

四輪駆動車を選びたいところ。200d 4MATICかAMGになりますね。

たまにはオフロードも、あるいは背が高い方が何かと便利、という方は、

200d 4MATICになりそう。

全体として汎用性が高いのは200d 4MATICです。ただ、MP202401からこのグレードは値上がり幅が大きくなり、代わりに180の割安感が出てきました。メルセデス・ベンツ日本は長い間ディーゼル車の価格を戦略的に抑えて普及させる戦略をとってきましたが、下記に記載の通り2023年でクリーンディーゼルの税制優遇が終わったこともあり、戦略を変えてきているようです。

グレード選び:我が家の場合

我が家の場合は、下記の希望があったため200d 4MATICの一択でした。

・SUVに四輪駆動は欲しい

我が家では冬にスキーに行きます。SUVなのに雪道でスタックしたらかっこ悪い、という思い(←固定観念)があり、ここは迷わず四輪駆動を選択。

・ディーゼルに乗りたい

我が家ではファミリーカーにハイパワーは必要なかったのと、低回転からトルクが出るディーゼルが疲れずに長距離移動をしたいという我が家のニーズにマッチしていることから、200d 4MATICを選択。

グレード間の価格比較

2024年8月現在、MP202501モデルの新車価格です。

 180200d 4MATICAMG GLB 35 4MATIC
車両本体価格(円)6,370,0006,900,0009,150,000

ご覧の通り、180と200d 4MATICの価格差が結構小さいです。200dが四輪駆動であることを考えると、ほぼ差が帳消しになります。また税制優遇の問題でディーゼルが有利に働くため、価格差はかなり少ないと思います。

メルセデス・ベンツ・ジャパンは伝統的にディーゼルの普及を優先しているのか、かなり戦略的な価格設定をしてきます。ディーゼルがどうしてもいやでなければ選択するのも賢いかもしれません。

MP202401において、GLB 180は27万円UP、200d 4MATICは57万円UPしたため、価格差が開いてきました。また、200d 4MATICはクリーンディーゼルの税制優遇がなくなったことにより、2024年1月登録分から219,500円税金が上がりました。

MP202402において、GLB180、200d 4MATIC、AMG GLB 35ともに150,000円値下がりしました。しかし、MP202501において、GLBが100,000円、200d 4MATICが110,000円、AMG GLB 35が140,000円値上がりしています。

※年次ごとの変更内容の詳細はこちらをご覧ください。

AMG GLB 35はご覧の通り、200d 4MATICとの価格差は200万円を超えています。ただし、AMG GLB 35はほとんどの装備が最初からついていたりするので額面ほどの差ではありません。

グレード間の装備の違い

走りに関する機能・装備はAMG GLB 35専用のものが多いですが、それ以外の快適装備などは、グレードによりオプションか標準装備の違いはあるものの、だいたい同じようなものにすることが可能です。特に、GLB 180とGLB 200dは、装備に関してはほぼ差がないと考えてよいと思います。

それでは、スペックシートを見ながら少し詳しく見ていきましょう。

グレード間のボディサイズ、最低地上高等の比較

180200d 4MATICAMG GLB 35 4MATIC
全長×全幅×全高(㎜)4660×1845×1700(AMGライン)4660×1845×1700(AMGライン)4660×1845×1670
ホイールベース(㎜)283028302830
トレッド 前/後(㎜)1590 / 16001590 / 16001615 /1595
車両重量 (kg)1710(フル装備の場合)1860(フル装備の場合)1860(フル装備の場合)
前後重量バランス56.7 : 43.3 
(MP202302)
最低地上高(㎜)200200160
最小回転半径(ⅿ)5.55.55.7

当然のことながら同じ車なのでボディサイズはほぼ同じですが、一番の違いは最低地上高。AMG GLB 35は車高が30㎜-40㎜ほどローダウンされており、その結果最低地上高は160㎜。GLB 180とGLB 200dは200㎜なのでだいぶ違いがあります。AMG GLB 35は一般の乗用車的な使い方を想定したものになっています。

SUVであってもオンロードしか行かないし、車高が高いのはむしろマイナスで乗用車的な使い方をしたい、という方はAMG GLB 35が選択肢になると思います。

ただし、現代の自動車は200㎜くらいの最低地上高の車であってもボディコントロールは乗用車並みにできるので、背が高いことのネガティブな面はそれほどないと思います。

最小回転半径は180と200dは5.5ⅿ、AMG GLB 35は5.7ⅿです。AMGラインを装着した場合、タイヤサイズも同じなのに最小回転半径が異なるのは謎。もしかすると180と200dにAMGライン装着した場合は5.7ⅿということでしょうか。いずれにしても、メルセデス・ベンツらしく小回り性能は同クラスのライバルに比べて良い方です。

グレード間のエンジン、足回りの比較

つづいてエンジン、足回り。

180200d 4MATICAMG GLB 35 4MATIC
エンジン形式282654260
エンジン種類直列4気筒DOHCターボ直列4気筒DOHCディーゼルターボ直列4気筒DOHCターボ
ボア×ストローク(㎜)72.2×81.382.0×92.383.0×92.0
総排気量(cc)133119491991
最高出力136PS / 5500rpm150PS / 3400-4400rpm306PS / 5,800-6,100rpm
最大トルク200Nm/ 1460-4000rpm320Nm / 1400-3200rpm400Nm / 3000-4000rpm
燃費(WLTC総合)14.2km/l15.8㎞/l11.0km/l
駆動方式FFAWD(四輪駆動)AWD(四輪駆動)
タイヤ(前)235 / 45 R 20(AMGライン)235 / 45 R 20(AMGライン)235 / 50 R 19
タイヤ(後)235 / 45 R 20(AMGライン)235 / 45 R 20(AMGライン)235 / 50 R 19

グレードごとにパワートレーンが大きく違います。AMG GLB 35はパワフル。最高出力が306PSで最大トルクも400Nmありますから、車重はかなりあるもののなかなかの加速感でしょう。車高も低くある意味乗用車的な乗り心地の車なので、これ一台で走りの気持ちよさから家族での快適な移動まですべてこなしたい、という方には良いと思います。

180の方も136PSと過不足ないスペック。ただし、ガソリンエンジンなのでトルクは普通。多人数乗車で長距離移動をする(関東の方であれば、東京方面から中央自動車道で高速移動する、などを思い浮かべるとよいです)となると、少し運転に気を使うかもしれません。

(註:2024年6月の改良で、180には前述の通り10kW / 1,500 – 5,100rpm、58Nm / 50 – 1,300rpmのモーターが付きました。エンジンの出力は変わりませんが、発進加速時を中心に、モーターのトルクによって非力感は軽減されていると思われます。)

200dはディーゼルターボです。他のメーカーのディーゼルに比べると控えめですが、必要十分といったスペック。ディーゼルが好きでない人には向かないと思いますが、そうでなければちょうどよい、と多くの方が感じると思います。ただし、先ほども書いたようにディーゼルはいわゆるちょい乗りが苦手。お子様の送り迎えや近場への買い物がほとんど、みたいな方にはマッチしないと思います。

駆動方式は180のみFF、200dとAMG GLB 35は四輪駆動です。これは必要性で選べばいいと思います。ただし、車重もかなりある車なので、実際に乗ってみると四輪駆動車の方が後ろからタイヤを蹴ってくれることが安定感に寄与していることはけっこう実感できます。

(トルクオンデマンド式の四輪駆動ではありますが、直線路ではFF状態で走るものの、坂やカーブなどではかなりの頻度で四輪駆動状態で走っています。100:0から50:50まで連続可変するタイプ。オフロードモードで50:50に固定することも可能)

実際のモデル選びの流れは、見積もりシミュレーションに沿って行っていきます。

GLB 見積もりシミュレーション画面
モデルを選ぶ画面。この時点ではAMGラインパッケージもついていない「素」の仕様。色はポーラーホワイトがデフォルトで選択されている

グレードの選びのポイントまとめ

グレード選びは、装備に関する違いがかなり少ないため、基本的にはパワートレーンと駆動方式で選ぶことになります。ハイパワーな車が欲しいかどうか。また、四輪駆動が必要かどうか。街乗り中心かどうか、ディーゼルが嫌いかどうか、でグレード選びが変わりそう。最低地上高もAMG GLB 35のみ30㎜ほど低いので、このあたりも検討の際のポイントになりそうです。

また、AMG GLB 35はかなり価格が変わりますので、そのあたりも検討の際には注意が必要です。

逆に、快適装備・機能装備については後付けすることでそれほどグレード間の差がないので、その点は安心してよさそうです。

ボディカラー・オプションの選び方に続きます。


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