メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC(X247)、2023年8月の納車から1年ちょっと経ちました。今回は、1年乗ってきて「ここがいい」、と思った点をご紹介します。
メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC(X247)についての全般的な魅力紹介はこちらをご覧ください。
1.ちょうどいいサイズ感
この車を選んだ時の基準が「我が家の機械式駐車場(全長5m×全幅1.85m)に入って、7人乗れて、かつなるべく小さいこと」だったことから当然と言えば当然。(当時の我が家の車の選定基準はこちら)
当時(2021年)、日本車で、ミニバン以外で7人しっかり乗れる車を探すとほとんどありませんでした。当時唯一この条件を満たしていたマツダ CX-8も、いざ我が家の機械駐車場に入れてみると入りませんでした。
その点、ヨーロッパではミニバン文化があまり根付かず、逆にコンパクトSUVに7人乗りできる車がちらほらありました。
選んでみると、SUVのためボンネットが高くやや死角が大きい点は気になるものの、取り回しは非常に楽。最小回転半径も5.5mと、以前の日産セレナ(C26)よりも小さいくらい。
その点で、この車にして正解でした。

2.とにかく疲れないこと
やっぱりメルセデス・ベンツらしいと思うのがこの点。エントリーグレードであろうと、Aクラス用のプラットフォームを使っていようと、FFベースだろうと、その点は変わりありませんでした。
ちょうどいいエンジン
その中でも一番この車らしいと思ったのは、エンジン。654型1.9L直列4気筒ディーゼルターボエンジンはスペックこそ150PS / 3,400~4,400rpm、最大トルク320Nm / 1,400~3,200rpmと平凡。これで1,870kgの巨体を動かすのですからさぞトロかろう、と思うのですが、そんなことはありません(0-100㎞/h加速は9.3秒)。
詳細は納車直後のレビューで書いていますが、とにかくこのエンジン、必要十分。ものすごいパワフルなわけではない一方で、おそらくタービンが小型である上に、常にターボチャージャーのブーストがかかっていてレスポンスが良く、全くストレスがありません。

よくあるディーゼルターボの強大なトルクは魅力は魅力ですが、その分微細なアクセルコントロールが求められます。運転を目的としている時は楽しいものの、移動のための手段として使っている時は、それが疲れにつながったりします。
その点、この車は本当に楽(いわゆる「運転しやすい」かんじです)。長く走れば走るほど、その絶妙なさじ加減に感心します。これこそがメルセデス・ベンツらしいところだなぁと思います。
正確なステアリング
メルセデス・ベンツに乗っていていつも感心するのは、ステアリングに遊びがなく、非常に正確だということ。初期のゲインが大きくスポーティにするとか、そういう演出は全くなく、とにかく高いセンサー感度でステアリング操舵を正確に検知し(小さなたわみでも検知できるようにすることでステアリングトーションバー(シャフト)の剛性も高くできる)、何の引っ掛かりもなくタイヤを曲げていく、こうした当たり前の動作が普通にできている感じがします。
GLBもご多分に漏れず、とても正確。けっこうクイックなステアリングギアレシオであることには驚きますが(それでもCクラス(W206)ほどではない)、何のストレスもない操舵感覚が得られます。

ステアリングを切ったら予想通りに車が動く、というのはすごく重要だと思っています。何もスピードを求めるためではなく、疲れないようにするための重要な要素だな、と最近特に思っています。
入力(操舵)に対して、出力(車の動きと人へのフィードバック)が予想と違うと頭が混乱し、次はどうしたら予想通りの出力が得られるのだろうと無意識に頭を使って次の入力を決めているのだろうと思います。こういうところに頭を使うのってじつはけっこう疲れます。それに、フィードバックが予想と違うかもと身構えて、知らず知らずのうちにハンドルを強めに握ってしまったり。
その点、メルセデス・ベンツのステアリングフィールは本当に「無味無臭」。空気のように存在してくれている、そんな感じがありがたいなと思います。
横揺れの少ない乗り味
腰高でサスペンションストロークが大きいSUVで、しかもそれほど足を固めていないGLBですが、横への揺すられ方はけっこう少ない方です。CX-8との比較記事はこちらに書いてあります(2025年4月11日追記しました)が、けっこう違います。
揺れたときにダンパーでガツンと一発で収束させに行こうとする乗り味は操縦安定性を重視するドイツ車に多く、やや硬いかなと思われる方はいると思いますが、同乗者にとっても揺れが少なく酔いにくいのではないかと思っています。

小さいノーズダイブやスクウォート
SUVのような背の高くサスペンションストロークの大きい車に乗ると、どうしてもブレーキング時のノーズダイブ(前につんのめるような現象)や加速時のスクウォート(前が浮き上がるような現象)が気になるものですが、この車はそうした動きが少ないです(最近の車はわりとみんなそうではありますが)。ブレーキをかけると後ろの浮き上がりを防ぐような動きが感じられます。アンチノーズダイブジオメトリーのおかげだと思いますが、あまり気にせずにブレーキを踏めるのはストレスフリーで良いです。
ただし、ブレーキの食いつきはやはりドイツ車っぽい感じなので(基本、摩擦抵抗の高いパッドを使っている)、車が止まる寸前でブレーキは少し緩めてやった方が同乗者は快適だろうと思います。
3.使いやすい安全運転支援機能
いつでもすぐ使えること
メルセデス・ベンツの安全運転支援機能の伝統は、一つの動作ですべての支援機能を作動開始できること。具体的にはステアリングについているボタンを上に一つクリックするだけ。
これで前車追従クルーズコントロールとステアリングアシストが作動し(スタンバイではない)、あとは好みで設定速度の上げ下げと車間の設定をすればよいだけ。

(他社、例えばスバルの場合(例に出して申し訳ないですが)、クルーズコントロールとステアリングアシスト、さらにはアイサイトXはそれぞれ別のボタンで起動する必要があり、さらに前の2つはボタン1回のクリックではスタンバイにしかならず、作動には別のボタン(トグル)を下に倒す必要があります。ということで全部作動させるためには4クリック必要です。)
こうした、使い勝手についてものすごく突き詰めて必要アクションを単純化しているのは、じつはなかなか大変なことです。たとえば誤作動させたらどうなるんだとか、いろいろそうした異常系の検証が不可欠だからです。また、クルーズコントロールだけ作動させたい、といったカスタマイズへの欲求と天秤にかける検証作業なども必要になります。そこを手間暇かけて洗練させて、1クリックに集約している点は、このメーカーのすごいところだと思っています。
とにかく、いつでも1クリックで安全運転支援機能を起動できる、これは長く使ってみると本当にありがたい価値だと思います。
機械による警告が煩わしくないこと
先ほどの点にも通じることですが、メルセデス・ベンツのこうした安全運転支援機能のもう一つの良い点は、「人への伝え方が秀逸」なことです。
例えば車線逸脱。リアルワールドでは、右折レーンが狭い時にあえて左の車線を踏んで右折車用のスペースを作ったり、停車中の車を避けるためにウィンカーを出さずにゼブラゾーンに入ったり、ということがあると思います。
そういった時に、なぜかメルセデス・ベンツは見逃してくれます。単に速度の関係で一定速度以下だと作動させていないだけかもしれませんが、とにかく余計なタイミングでは警告を出してこない。
しかも、こういった警告は音ではなく、ステアリング振動で教えてくれるところにも思いやりが感じられます。
耳は基本的に塞ぐことができない器官なので選択的に「聞かない」ということができません。なので、ほんとにここぞ!という時の警告に使わないといけません。メルセデス・ベンツはシートベルトの締め忘れ等安全上クリティカルなものについては、けっこうけたたましい音で警告してきます。
一方で車線逸脱等はそっと振動で教えてくれる。
こうした人間に伝えるインターフェース(視覚、聴覚、触覚)の使い分けにも、メルセデス・ベンツの長年の蓄積とブレない信念を感じます。
4.よく練られたユーザインタフェース
ほとんど先ほどの安全運転支援機能と被ってしまいますが、全般にユーザインタフェースはとても良くできていると思います。
ブラインドタッチでもだいたいわかるように、ウィンドウスイッチなどもしっかり整備されていますし、少し関係の薄い機能はそもそも別の場所に配置するなど、ある程度コストをかけないといけないようなものも必要があればやる、という方針が明確に伝わってきます。



5.ストレスのない音環境
全体に特別静かな車ではありませんが、ロードノイズや風切り音、ガラス越しに入ってくる環境音とエンジン音(ディーゼルのため音量は大きめ)がうまくミックスして、全体として割と気持ち良い音環境になっています。こうしたところにも、しっかりとした設計の手が入っていると感じます。

6.乗降性のしやすさ
前席への乗り降りで頭をピラーにぶつけるといったことがありません。もちろん背が高いこと、Aピラーが寝ていないことも効いているとは思いますが、別の背の高い車で頭をぶつけたことはあるので、なにか視覚的にぶつけたらあかん!と意識させるようなランドマークがあるのかもしれません。
後席への乗り降りは、以前足の悪い私の母を乗せた時の写真を掲載していますが、座面位置、サイドシルの形状等が非常に良く考えられていて、感心するくらい高齢者に優しくできています。

7.大きなスライディングパノラミックルーフ
これがあると、2列目、3列目の人の視覚的な圧迫感が軽減されてとても良いと思っています。Aピラーが立っていることで運転席の私でも少し恩恵を受けることができます。

8.多彩な車両情報表示機能
かなり多くの情報の中から選択して表示することができます。私が気に入っているのは斜度計。4MATIC車にのみ標準装備されていますが、前後左右の傾きをリアルタイムに表示してくれるもの。その他、パワー、トルク、ブースト計も表示でき、見ていてけっこう楽しいです。


9.何気に楽しいアンビエントライト
最初はこんなのどうなのかなぁと思っていたのですが、普段は白系の色、たまには薄いブルー系の色、たまには黄色系、みたいに思わず気分で色を変えている自分がいます。


10.良い燃費
今のところGLB 200d 4MATICの通算の燃費は14.44㎞/lとWLTC総合のカタログ燃費(15.9㎞/l)には届いていません。が、それは主な利用が往復6㎞の子供の送迎であるため。
首都高を使って新宿に行って帰ってくると、20㎞/lを超えることもしばしば。箱根に家族5人で行って往復してきても18㎞/lくらい行くので、けっこういいなぁと思います。
それでいてアクセル踏んでも加速しない、みたいな感じもなく、我慢している感もありません。軽油であるためハイオクガソリン(ポルシェなど、そのほかの我が家の車は全部ハイオク)よりリッター40円ほど安いのも魅力です。
燃料タンクも63Lと大きめなので、だいたい800㎞は無給油で走れます。ちょくちょく給油しなくてもいいのも何気に魅力になっています。
まとめ
自分の車をべた褒めするのもどうかと思うのですが、とにかくこの車は日常使いとして「期待以上」。最初なんでファミリーカーなのにこんなに高いかなぁ、ブランド料みたいにお金を払うのはイヤだなぁと思いましたが、(高いことは高いですが)個人的にはとても満足しています。
乗れば乗るほど「いいなぁ」と思える車を、限られたコストの中で作るのは本当に大変だと思いますが(当然セールスのことを考えるともっと飛び道具的なものにお金をかけたくなるはず)、個人的にはそういう車に出会えて幸せだなと思ってます。
メルセデス・ベンツは(多少派手になったとはいっても)今の時代も質実剛健、でした。










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