先日、仕事の関係で取引先の方のマツダ CX-8の助手席に乗る機会がありましたので、助手席での乗り心地を我が家のメルセデス・ベンツ GLBと比べてみました。その模様をお伝えします。

ラッキー!マツダ CX-8の助手席に座れた

マツダ CX-8は、我が家の次のマイカーにしようと思いながら、マンションの駐車場に入らずに断念した車です。

(試乗インプレッションはこちら。また機械式駐車場に入らなかった顛末はこちら

結局メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATICになった訳ですが、GLBのオーナーになって改めてCX-8の助手席に乗ってみたら乗り心地をどう感じるだろう?と思っていたらその機会がやってきました。

仕事の関係で取引先の方が運転する方の助手席に乗せてもらったので、当然仕事の話をしながら乗っているわけですが、その間も密かに(?)乗り心地に注意を向けながら乗っておりました。なんて奴じゃ。

(細かい年式、仕様はわかっていませんが、購入してからの年数等から2019年のモデルだと思います。AWDでした)

マツダ CX-8のインテリア
マツダ CX-8のインテリア。メーカーホームページより(以下、私が撮影した写真以外は同)
メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATICの前席
メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATICの前席

マツダ CX-8の乗り心地の印象は?

マツダ CX-8は室内が静か

まず最初に思ったのは、室内空間が静かだということ。この車がガソリンエンジン車だったこともありエンジン音が小さく、それゆえエンジンの透過音も静かです。マツダ CX-8と言えばマツダの中ではハイエンドに属する車(今はCX-60などがありますが)なので、遮音対策をきちんとして上質感を出しているな、という印象。一方のメルセデス・ベンツ GLBはラインナップの中ではAクラスに次ぐコンパクトクラスで、基本的にはカジュアルなファミリーカーの位置づけ。エンジン回りの遮音はほかのグレードに比べて少ない。こうした、メーカー内での位置づけによってもこの遮音の差は出たかな、と思います。

とはいえ、足回りの遮音対策はどちらも甲乙つけがたい感じです。

マツダ CX-8の乗り心地はマイルド

続いて乗り心地。こちらも、まず思い浮かんだ言葉は「マイルド」。

まず、ボディが2000年代初頭にフォードと共同開発したCD3プラットフォーム(マツダ 6やCX-9に搭載されていた)をベースにしていることもあり、ゆったりした乗り味。逆にいうと少し「ユルい」。CX-8の運転をさせてもらった時に、この乗り味が結構気に入ったのでした。細かい路面の凸凹に対しても、わりとゆるりといなしていく感触です。低速で普通の路面の道路を走っているとなかなか快適でした。

メルセデス・ベンツ GLBの方は、基本的にボディが固く、シートも固めで、サスペンションストロークは大き目なもののこうした凸凹はわりとしっかりと伝えてきます。特に我が家の車はAMGラインのため、タイヤが235 / 50 R19(CX-8は225 / 55 R19)で銘柄もピレリ P ZERO PZ4というグリップタイヤを履いているのでなおさら。普通に流している分には、マツダ CX-8の方が快適、と感じる人も多そうな感じです。

実際、検索をすると「GLB 乗り心地 悪い」という検索候補が上位に出てくることからも、一般的にはGLBの乗り心地は悪いと思われているようです。(私は、下記にも書いている通りでGLBの乗り心地が悪いとは思っていません)

マツダ CX-8
マツダ CX-8
メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC
メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC

マツダ CX-8にも苦手な路面はあった

ただ、少し大きめな段差を超えた時、CX-8からは「ガツン」という突き上げを感じました。全体にサスペンションも柔らかめ、ショックアブソーバーも減衰力が低め、たぶんブッシュも柔らかめのため、こうしたところでは直接的な衝撃が来ます。そして、そうした時の収束もやや苦手で、ゆらゆらと振動が残ります。CX-5とは違う方向性です。

これは横揺れに対しても同様で、横に揺すられるとふわっと車があおられて、横・縦方向の揺れがゆらゆらと残る感じ。こうしたところではちょっと同乗者は酔いやすいかも、と思いました。とはいえ、マツダのラインナップの中では柔らかな感じというレベルで、決してふにゃふにゃした足ではありません。

(※2023年11月6日追記:マツダ CX-8は2022年の改良で足回りのセッティングをいじっているようです。記事の内容にやや「?」なところがありますが、もしかすると私が気になった部分は改善されているかもしれません。

マツダ「CX-8」改良、頭の揺れ減らし酔いにくく(日経XTECH))

マツダ CX-8のシャシー(イメージ)
マツダ CX-8のシャシー(イメージ)

GLBは、やっぱりドイツ車だった(でも、少し猫足っぽい?)

GLBは、大きめな段差でも衝撃が車内に伝わってくることはあまりありません。これはバネやショックアブソーバーのセッティング以外に、取り付け部の剛性も寄与していそうです。

GLBは、サスペンションのストロークは非常に大きいのですが、縦揺れの際は縮み側が普通に縮んだ後、リバウンドで伸びようとするバネを、伸び側の減衰力を高めたショックアブソーバーで抑え込んでいる感じがあります。この動きは、家の近くにあるジャンピングスポット(!)(もちろんジャンプはしませんが、坂を上り切って急に平たんになっている箇所を50㎞/h超えで加速しながら走り抜けるポイントがあります)で確認しています。伸び側のダンピングが弱い車はけっこう煽られて怖いですが、GLBはいたって平和に走り抜けます。

また、横揺れの際も荒れた路面に足を取られるものの、その後伸び側のショックアブソーバーがガシッと振動を抑え込ませて、「スパン」と路面にぴたっと張り付いて縦方向の振動が収束します。

また、あおられたときでも車両の横方向への不穏な動きが少ない感じでした(納車直後のインプレッションでもお伝えしましたが、やはりその印象はほかの車と比べても変わりませんでした)。

おそらく、ラテラルロッド(マルチリンクサスペンションで横方向の動きを制限する棒)のブッシュもCX-8よりは硬そうで、それも横方向の揺れを抑え込んでいる感じでした。

メルセデス・ベンツ GLBのシャシー(イメージ)
メルセデス・ベンツ GLBのシャシー(イメージ)。メーカーホームページより

補足:調べてみるとGLBには「揺らさない」ための工夫が盛りだくさん

なんかこれだけじゃないんじゃないかと思っていろんな人に聞いたり自分で調べたりしたところ、ざっと下記のようなことがわかりました。

<揺れを発生させない設計>

・そもそもMFA2プラットフォーム(Aクラスと共通)は、エンジン搭載位置などが低く、重心が低い。さらに燃料タンクなども極力低く中央寄りに配置している。

・メルセデス・ベンツはロールセンターを重心に近づけるようにするためにサスペンションのジオメトリを最適化している(ロールセンターがやや高くなるように設計)

・そのため、そもそも「ロールが発生しにくい」ジオメトリーになっている

・(ほかでも書きましたが)アンチダイブ・アンチスクオート(スクワット)のジオメトリーになっている

→全体的に、ロールや前後方向の動きが最初から小さく抑えられており、頭が大きく動かない

<ロールの揺れ戻しを少なくする設計>

・タイヤのサイドウォール剛性や内部構造を専用設計にして、タイヤ側での衝撃吸収を最適化している

・先ほどのサスペンションアーム類の取り付け部などは「(国産車に比べ)やや硬め」になって全体として衝撃吸収と乗り心地のバランスをとっている(特に方向特性については縦方向はやや逃がす(突き上げをいなす)、横剛性は高く(揺らさない)、という特性だそうです)

・サブフレームの結合部のブッシュは「硬すぎず柔らかすぎず」で衝撃を吸収しつつふわふわとは動かさない設計になっている

・その先につながるボディについては、開口部剛性(特にドア周りとリアゲート)を高めることでねじり剛性を確保し、ねじりを抑えることで、結果として横揺れが少ない乗り味になっている

<揺れを収束しやすくする設計>

・先述の、特にダンパーの縮み側の減衰力を高める設計になっている

<揺れを主観的に「感じにくい」設計>

・シートが「腰から支える設計」になっている(シート剛性が高くウレタン構造も腰回りを動かさないようにできている。これは「腰が痛くなる」要因にも)

・ドライバーの骨盤位置が揺れの節点(回転の中心)に近くなるように(着座位置が低めに)設計されており、その結果視線の揺れも相対的に小さくなるため、上屋が揺れていても「揺れていると感じにくい」

このように、「揺れを起こさない」「揺れ戻りを起こさない」「揺れを感じさせない」ための設計が統合的に行われているために、全体として「揺れの少ない車」になっているようです。車の設計って奥深いですよねー。

まとめ

こんな感じで、だいたい2年前に試乗させていただいた時の印象と同じではありましたが、CX-8は日常域での乗り心地を優先してバネは柔らかめ、ショックアブソーバーの減衰力も弱め、その副作用として少し荒れた路面でのガツンとした衝撃とゆらゆらした収束の悪さがついてくる、という感じ。

一方のGLBは、日常域での乗り心地はいわゆる少し固めな感じでコツコツとした振動を伝えてくる一方、特に伸び側のショックアブソーバーの減衰力を高めて振動を収束させるのが速い、横方向への不快な揺れも少なく、結果同乗者の酔いにくさにつながりそう、そんな特徴がありました。

マツダ車はわりと欧州車的なセッティングをするイメージだったのと、メルセデス・ベンツはわりとドイツ車にしては優しい感じの乗り心地にする(乗り心地を優先して柔らかめのブッシュを使って衝撃をいなすような味付けをする)イメージだったので、この2つの車の乗り心地の出し方の方向性が違ったのは、あらためて面白い発見でした。

CX-8はミニバンからの乗り換え需要も想定して、マツダ車の中ではかなりザ・国産車っぽい乗り心地を志向している気がしました。一方のGLBは、ドンピシャファミリー層をターゲットにしているものの、やはりまぎれもないドイツ車でした。といっても、縮み側はふわっとストロークする(ショックアブソーバーの縮み側は減衰力が高くない)ところはちょっと最近の(ドイツ車っぽくなってきた)「猫足」フランス車っぽく、そのあたりも面白いなぁと感じるところでした。

・・・と観察していたら、いつのまにか取引先の方とも車の話をしておりました。

GLBのライバル車比較(1):マツダ CX-8を読む

メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC 納車直後レビュー(後編)を読む

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