メルセデス・ベンツ GLB を選ぶまで:国内外の7人乗りSUV、ミニバン比較から続く)

最終的に7人乗りのSUV、メルセデス・ベンツ GLBを迎え入れた我が家ですが、そこに至るまでは紆余曲折がありました。ここでは、比較検討したライバル車の紹介をします。4台目はミニバン、日産 セレナ(C28)です。

GLBのライバルが日産セレナ?と思われる方が大半だと思います。が、我が家ではもともと9年以上日産 セレナ(4代目、C26)に乗っていたので、日産セレナが候補として上がることは必然でした。

我が家では次の候補はできればミニバンは卒業したいと思っていました。そしてGLBは2021年9月に注文。納車をただただ待っていました(その顛末はこちら)。

ただ、GLBの納車目途が立たないのであればどうですか?とディーラーからは猛プッシュ。ありがたく検討させていただくことになった次第です。

日産セレナ:プロフィール

歴史

日産セレナは1991年に登場したバネット・セレナを前身とするミドルクラスのミニバンです。1990年にトヨタがエスティマというミッドシップレイアウトの画期的な車を登場させ、People Moverの市場が一気に開花。そこに出てきたのがバネット・セレナです。商用車であるバネットの名前を借りながらもパッケージングは一新して登場しています。

その後1994年にマイナーチェンジと共に日産セレナに改称。バネットの名前が取れ、ミニバンとして独立したカテゴリーの車としての道を歩みます。

2022年に登場した日産セレナ(C28)は6代目にあたる車。2005年に登場した3代目、C25型からプラットフォームは4代に渡りキャリーオーバーしているものの、絶え間ない商品改良で日産の国内における屋台骨になっています。(日産の国内登録車販売台数の約4分の1を占める)

初代 日産 セレナ
メーカーホームページより。以下同

日産 セレナとメルセデス・ベンツ GLBのスペック比較

比較は、日産 セレナのe-POWER ハイウェイスターVと、メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATICで行っています。

ざっとスペックを比較してみましょう。

ボディサイズ比較:日産 セレナとメルセデス・ベンツ GLB

 メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC日産セレナ e-POWER ハイウェイスターV
全長×全幅×全高(㎜)4650×1845×1700(AMGライン)4765×1715×1870
ホイールベース(㎜)28302870
トレッド 前/後(㎜)1590 / 16001475/ 1485
車両重量 前/後/合計(kg)1060 / 810 / 1870(フルオプション)1810
前後重量バランス56.7 : 43.3  
最小回転半径(ⅿ)5.55.7

全長は日産 セレナが115㎜長く、幅は130㎜狭く、高さは170㎜高い。

日産 セレナは基本的に5ナンバーベースのプラットフォームを使っているため横幅が狭く、都会などでは扱いやすいと思います。一方高さは170㎜高いため、かなり縦長の車。セレナは他のミニバンと違って低床化していないため重心高も高く、走りの安定感という点では不利です。

もう一点、最小回転半径は5.7ⅿとメルセデス・ベンツ GLBよりも0.2ⅿ大きい。実際我が家の日産 セレナもタイヤの切れ角がいまいちで、小回りが利かないなという印象でしたので、このあたりは注意が必要。

続いてパワートレーン関係。

パワートレーン比較:日産 セレナとメルセデス・ベンツ GLB

 メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC日産セレナ e-POWER ハイウェイスターV
エンジン形式654HR14DDe
エンジン種類直列4気筒DOHCディーゼルターボ直列3気筒DOHC+モーター
ボア×ストローク(㎜)82.0×92.378.0×100.0
総排気量(cc)19491433
最高出力150PS / 3400-4400rpm98PS / 5600rpm
最大トルク320Nm(32.6kgm)/ 1400-3200rpm123Nm(12.5kgⅿ)/ 5600rpm
モーター出力 163PS
モーター最大トルク 315Nm(32.1kgm) 
燃費(WLTC総合)15.9㎞/l19.3km/l

日産 セレナ e-POWERは、シリーズハイブリッドのため、動力はモーター。ですので比較にはモーターの出力とトルクを使います。

エンジンのピークパワー、ピークトルクともにGLBと日産 セレナはほぼ同じ。ただ、GLBはディーゼルターボ、日産 セレナはモーターなので、そのフィーリングは違います。

燃費は日産 セレナの方がかなり良い。

最後に足回り。

足回り比較:日産 セレナとメルセデス・ベンツ GLB

 メルセデス・ベンツ GLB 200d 4MATIC日産セレナ e-POWER ハイウェイスターV
サスペンション形式(前)マクファーソン・ストラットマクファーソン・ストラット
サスペンション形式(後)マルチリンクトーションビーム
ブレーキ(前)ベンチレーテッドディスクベンチレーテッドディスク
ブレーキ(後)ディスクベンチレーテッドディスク
タイヤ(前)235 / 50 R19(AMGライン)205 / 65 R16
タイヤ(後)235 / 50 R19(AMGライン)205 / 65 R16
駆動方式AWD(4輪駆動)FF

日産 セレナは1,800kgを超える車重にリアはトーションビーム。扁平率の低く細いタイヤを履いています。できるだけタイヤのゴムの厚みを使ってサスペンションが吸収できない衝撃を吸収しようという考えでしょうか。

日産 セレナのエクステリア

最近日産はノートやアリアでヨーロピアンなアクのないデザインで攻めてきていたので、セレナもそうなるのかな、と思ったところ、わりと攻めたデザイン。縦長のライトなどはかなり冒険した感じです。エルグランドのエッセンスを入れて車格感を出しに来た感じ。

ステップワゴンのクリーンな造形とノア・ヴォクシーのオラオラな感じとはまた違い、なかなか面白いデザインだと思います。

日産 セレナ。グレードはガソリン車のハイウェイスターV
日産 セレナ。グレードはガソリン車のハイウェイスターV(試乗レビューの車とは違います)。ディーラーホームページより.

日産 セレナ:インテリア

2世代前のセレナに乗っていた私からすると、内装の質感は隔世の感があります。試乗車はe-POWER ハイウェイスターVですが、シートの表皮の質感から違う。ダッシュボードにはソフトパッドが貼られ、もう別の車ですね。。合成皮革もなかなかいい感じに使われてました。

日産 セレナ:運転席に乗り込んでみると

視界

プラットフォームは我が家の日産 セレナ(C26)とも変わっておらず、基本的には「何も変わらない」感じですが、当然ながらダッシュボードは全面的に刷新。ダッシュボードは直線基調で視界は良いです。ただ、ノートか何か別の車種と部品を共用しているためか、メータークラスターの位置をかなり見下ろすような感じになり、前方からメーターに視線を移動するときの距離が大きいのは気になります。

日産 セレナのコックピット
日産 セレナのコックピット。ダッシュボードがかなり低く、ハンドルが上を向いてついていることがわかる。左側のパネルに物議をかもしたボタン式ATセレクトレバーがある。メーカーホームページより。以下同。

サイドウィンドウは昔から低い位置にありましたが、このモデルではさらに前方の下端が下がりました。視界の良さは超絶良い。オープンカーよりもオープンな視界かもしれません。左斜め前の視界も三角窓の存在により良好。このあたりは昔から変わっていません。

日産 セレナの左前方視界
日産 セレナの左前方視界。こんなに低くていいの?というくらい低いサイドウィンドウの位置

ただし、右折時には太いAピラーが視界の妨げになる点もあまり変わりません。

GLBは:ストレスのない着座位置と前方視界。ただ、左斜め前はドアミラーの位置の影響でやや死角が大きい。ボンネットがそれなりに高いため、左斜め前全体に死角が大きい。

シート、ダッシュボード周り

シートは大柄でクッションの厚さもあります。これは日産 セレナの昔からの美点。長時間乗っても疲れません。一方ホールド性は皆無です(涙)。

着座姿勢も昔と変わらずアップライトで、バスの運転手になった気分。ハンドルは下の方から伸びてくるのでその点もバスに近い。

もう一つ、物議をかもしたボタン式のATセレクトレバー(日産ではシフトスイッチと呼んでいるよう)ですが、これは(インターフェースの出来のあまり良くない日産には珍しく)良くできていると思います。一つには「P(パーキング)」や「R(リバース)」などのボタンのサイズが一様でないこと。また、微妙な凹凸もあり、触っただけでどのレバーかわかるようになっています。そして「R」は長押しで入る、などまず間違えないように設計されています。見た目もシンプルになり、私はこれはありだなと思いました。

日産 セレナのシフトスイッチ
日産 セレナの物議をかもしたATセレクト「ボタン」

ステアリングホイールの革は、フェアレディZとも素材を共用しているのでしょうか、このクラスからするととてもいい触感。私が乗っているC26セレナとは雲泥の差です。

その他

C26セレナでは、オプションの後席モニターを装着すると、ドアミラーからの後方視界にモニターが入ってしまい、かなり視界を遮ってしまっていたのですが、今回の試乗車で確認したところ、モニターはミラーの視界に映っていませんでした。こうした細かい点も改善をしているところは好ましいと思います。

日産 セレナの走り

パワートレーンの印象

試乗はハイブリッド(e-POWER)、ガソリンともにさせていただきましたが、ここではハイブリッドのみ書いておきます。

ハイブリッドは新設計の1.4Lのエンジンで発電し、モーターで駆動するシリーズハイブリッド方式。

先代(C27)セレナに比べると、エンジンの音が心地よくなりました。

ただ、トルクの出方はかなり抑えていて、しばらくするとブワッと加速する感じ。ちょっと昔のドッカンターボみたいな感触。セレナでは乗客の酔いにくさを追求したとありますが、もしかしたらこのパワーの出方もその一環かも。個人的にはトルクがすぐに立ち上がるモーターの良さがなくなってしまい、ちょっと残念な感じ。逆に途中から遅れてトルクが盛り上がってきてしまうのでコントロールも難しい。

もしかするとターゲットとしているドライバーは、アクセルワークが上手でない(アクセルのオン・オフという感じで極端に操作する)ことを前提としているのかもしれません。

GLBは:必要な時に、ちょうどいいくらいの出力。ターボのブーストの段付きも感じさせずに4000回転超までするっと回る。トルクの出方が絶妙でコントロールしやすく、むしろこれくらいパワーは控えめの方が、長時間乗ったときに疲れない。ターボはレスポンスが良い。「安全に疲れずに遠くまで走れる」特性といえる

運転フィール

走り出して驚くのはボディ骨格。適宜補強され、ミニバンに特有のボディのブルブル振動はかなり少なくなっています。また、後席に座っていないながらもボディ後部から伝わる揺れなどから、後席の乗り心地はかなり改善されていそうだと感じました。

同じプラットフォームとはいえ、改良していくとこんなにも良くなるんだなぁ。

運転感覚は安定性重視であることは昔から変わらず、操舵フィールは悪くない感じ(もともとセレナはハンドルが戻ろうとする反力が自然で好ましい感じ)。

一方、センター付近の不感帯(切っても反応しない領域)の大きさもあまり変わらず、いわゆる運転者の意図通りに動く車ではありません。相当運転が上手でない人(どうしてもハンドル操作も急になりがち)が乗っても大丈夫なようにマージンを取っているのだろうと思います。

ハンドルを切ってからの動きも鈍重で、上屋がゆらっと大きく揺れる感触があり、思ったとおりとはなかなかいかないのもこのクルマの特徴。慣性マスが大きいので仕方ありません。

ボディ形状から、横揺れも小さくはなく、それなりに同乗者に気を使います。

そんなこともあり、癖を理解しながら注意して運転しないといけない車、という性格はあまり変わっていないと思いました。

GLBは:革の触感は良い。ステアリングはクイック。フィードバックはしっかりあり、アナログな感触が残っている。ステアリング中央付近の遊びは小さく、ファミリーカーとは思えない部類。たっぷりとしたストロークとコシのあるダンパー。電子制御ダンパーを装着していないこともあり、比較的あっさりしていて高級感はあまりない。ステアリングを切ってからの車の動きは「ああ、メルセデス・ベンツだなぁ」というもの。穏やかで動きに破綻が一切ない。安心感の固まり。全体に揺れ、振動が少ない。段差を乗り越えたときの収束が速い。座席の作りもよく、上半身が安定する。

静粛性

静粛性についてはオデッセイのところで書いたようなハイブリッド特有の問題、つまりエンジンが回っている時と回ってないときで静粛性が激変する、という問題をうまく処理しているように思いました。一つには発電用エンジンそのものが静音、低振動になっていること。そしてエンジン音自体もそこまで嫌な音質ではないことも良いところ。

また、足回りの遮音は頑張った感じで、ロードノイズは良く抑えられています。けっこう静かなクルマだね、と思うレベル。開口部の大きいミニバンながら良く頑張っている感じ。特にオデッセイと比べると後方の遮音も頑張っている感じでした。

日産 セレナの吸音・遮音を説明した図
日産 セレナの吸音・遮音を説明した図

そんなこんなで、トータルに静粛性を上げているところが素晴らしいと思いました。

GLBは:わりと静か。特にロードノイズの侵入が少ない。

日産 セレナの後席への乗り込み

これは昔から変わらずで、フロア高が高く、サイドステップを介して乗り込まなければいけないところも変わっていません。プラットフォームのキャリーオーバーでここは仕方のないところなのでしょう。

ただ、もともと乗り込みやすいノア・ヴォクシーやステップワゴンにはサイドステップをオプション装着できるのに、セレナではオプションでも選べないところは残念。我が家みたいに足の悪い高齢者がいる家では、この点はセレナを選びづらいところ。

日産 セレナの2列目シート

2列目シートの居住性と座り心地

2列目シートは足元、頭上空間ともに広く快適。前方視界もよいです。

座り心地も良好。他社は2列目シートを2人乗りにしてオットマンをつけたりと付加価値をつけていますが、セレナは3人掛けを貫いています。もともと2列目の座り心地には定評のあったセレナ、飛び道具がいらなければ十分だと思います。

一方、2列目中央の、セレナ特有の動くシート(スマートマルチセンターシート)は、C28からハイブリッド車にも搭載されました。可動範囲はガソリン車より小さいものの、8人乗りできるようになりました。これはすごい!

2列目シートの安全性

センターシートのヘッドレストは先代C27からつくようになりました。安全装備についてはカルロス・ゴーン時代に「お金にならないから」とかなり消極的だった印象のある日産ですが、ようやく他社並みになったのはありがたいことです。

2列目シートの乗り心地

実際に動いているところでの乗り心地は試せていません。ただ、運転の際後ろの席からくる振動や音から察するに、乗り心地が劣悪だったC26セレナからはだいぶ改善されていそう。それでも高い重心とトーションビームサスペンションといった基本要素は変わっていないので、横揺れ、縦揺れともにそれほど高望みはできなさそうです。

GLBは:足元空間はそこそこあるが、座面長がやや短い。乗り心地は硬めだがよい。特に縦方向、横方向、前後方向の揺れが少なく、収束も速い。酔いにくさにつながっていると思われる。

日産 セレナの3列目シート

こちらも基本的には設計変更はないようです。もともとセレナの3列目はしっかりとシートクッションの厚みがあり、座り心地はミニバンの中ではかなり良い方だと思います。居住性も十分良い。

ただ、3列目の格納が跳ね上げ式のままで、場所を占有するとともに後方視界も犠牲にするので、このあたりに工夫がないのはちょっと残念なところ。

日産セレナの3列目シートを跳ね上げた状態。C26の頃に比べるとだいぶ低い位置に格納されるようにはなったが。。

3列目シートの安全性も望み薄。国内のミニバンで、最も厳しいアメリカの後方衝突基準(70%オフセットで80㎞/hで後方から衝突させる)をクリアしている車はないと思われます。

GLBは:アクセスはやや大変だが、しっかりと作られている。世界一厳しいアメリカの後方衝突試験をクリアしていて、安全性にも抜かりがない。オプションのスライディングパノラミックルーフを装着すると、前方の圧迫感もかなり軽減される。

日産 セレナの良いと思った点

熟成に熟成を重ね、8人乗りの車としてのパッケージングとしてはもういうことないのではないでしょうか?快適性や上質感、さらに安全運転支援機能もついて、敵なしだと思います。

日産 セレナの気になった点

一番の理由はミニバンの乗り慣れた車だということ。我が家は次の車はできればミニバンを卒業、と考えていたところにミニバンの、しかも全く同じ車種にするというのはどうもね、、というだけの理由です。

また、ミニバン全般に言えることですが、3列目シートの安全性もマイナスポイントになりました。

メーカーホームページはこちら


我が家の車選びの条件と、メルセデス・ベンツ GLBを含め購入候補を選ぶ過程についてはこちら

ライバル車比較(1)マツダ CX-8の試乗レビューはこちら

ライバル車比較(2)プジョー 5008の試乗レビューはこちら

ライバル車比較(3)ホンダ オデッセイの試乗レビューはこちら

最終的に決めた車、メルセデス・ベンツ GLBについては下記にまとめています。

メルセデス・ベンツ GLBの魅力は?我が家の車に決めた理由を読む

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