メルセデス・ベンツ GLB を選ぶまで:国内外の7人乗りSUV、ミニバン比較から続く)

最終的に7人乗りのSUV、メルセデス・ベンツ GLBを迎え入れた我が家ですが、そこに至るまでは紆余曲折がありました。ここでは、比較検討したライバル車の紹介をします。3台目は走りのミニバン、ホンダ オデッセイです。

我が家ではもともと日産 セレナに乗っていたのですが、次の候補はできればミニバンは卒業したいと思っていました。ただ、広い空間などミニバンには良さもあり、それであれば走りも楽しめるミニバンはどうだろう、ということで候補になったのがホンダ オデッセイです。

ちなみに、我が家の車選びの条件は:

家族5人がしっかり乗れて、いざというときには両親2人を乗せて7人で移動できる。

マンションの駐車場の制約から、全長5m、幅1.85ⅿ以内に抑える必要がある

できればミニバン(当時日産セレナ(C26)に乗っていました)は卒業したい

けっこう難題でした。

ホンダ オデッセイ:プロフィール

歴史

ホンダ オデッセイは1994年に発売された、背の低いタイプのミニバンとして一世を風靡した車です。

バブル景気からの回復期に当たる1990年代前半、車はレジャーブームで今でいうSUV(当時はRecreation Viecle=RVと呼ばれていました)が隆盛してきていました。三菱パジェロが1991年、トヨタ RAV4も1994年に発売されています。

一方ミニバンはトヨタがエスティマというミッドシップレイアウトの先進的なミニバンを1990年に発売し、日産も1993年に日産ラルゴを発売、というようにこのカテゴリも確立してきていました。

当時のホンダはどちらも持っておらず、一方業績不振の中で開発費が絞られている中で何とかしてこの隆盛するカテゴリに車を出すべく、アコードのプラットフォームを使用して開発されたようです。当時の量産ラインに乗るぎりぎりの高さとして1660㎜の車高が決まり、発売に至ったという車です。そんな事情もあり、スライドドアも採用しない独特のパッケージングで登場しました。これが月販1万台を超える大ヒットになりました。

初代ホンダ オデッセイ
初代 ホンダ オデッセイ。メーカーホームページより(以下同)

その後3代目には全高をFFで1550㎜まで落とし、立体駐車場対応するなどしてきましたが、その市場の縮小とともに5代目のこのモデルで再度背を高くした、という何ともホンダらしいモデルです。

5代目オデッセイ

5代目オデッセイは2013年に発売、2022年にいったん発売が終了したモデルです。2023年8月現在、販売していませんが、年末より中国生産のオデッセイの再導入が決まっているようです。

ホンダ オデッセイとメルセデス・ベンツ GLBのスペック比較

比較は、ホンダ オデッセイe:HEV(ハイブリッド)EX(FF)と、メルセデス・ベンツ GLB 200d 4Maticで行っています。

ざっとスペックを比較してみましょう。

ボディサイズ比較:ホンダ オデッセイとメルセデス・ベンツ GLB

メルセデス・ベンツ GLB 200d 4Maticホンダ オデッセイ e:HEV アブソルート・EX
全長×全幅×全高(㎜)4650×1845×1700(AMGライン)4855×1820×1695
ホイールベース(㎜)28302900
トレッド 前/後(㎜)1590 / 16001560 / 1560
車両重量 前/後/合計(kg)1060 / 810 / 1870(フルオプションの場合)1930
前後重量バランス56.7 : 43.3 
最小回転半径(ⅿ)5.55.4

ご覧の通り、まずは全長はオデッセイの方が205㎜長い。

ホイールベースも70㎜違います。

ちょっと大きいかな、と思う大きさ。

ただ、最小回転半径は5.4ⅿと、我が家のセレナ(当時)よりも0.3mも小回りがききます。

続いてパワートレーン関係。

パワートレーン比較:ホンダ オデッセイとメルセデス・ベンツ GLB

 メルセデス・ベンツ GLB 200d 4Maticホンダ オデッセイ e:HEV アブソルート・EX
エンジン形式654LFA
エンジン種類直列4気筒DOHCディーゼルターボ直列4気筒DOHC+モーター
ボア×ストローク(㎜)82.0×92.381.0×96.7
総排気量(cc)19491993
最高出力150PS / 3400-4400rpm145PS / 6200rpm
最大トルク320Nm(32.6kgm)/ 1400-3200rpm175Nm(17.8kgⅿ)/ 2000rpm
モーター出力 184PS / 5000-6000rpm
モーター最大トルク 315Nm(32.1kgm) / 0-2000rpm
燃費(WLTC総合)15.9㎞/l19.8km/l

ホンダ オデッセイはハイブリッド、GLBはディーゼル。まったく違うパワートレーン。

ホンダのe:HEVは原則エンジンは発電、モーターで駆動するので、出力はモーターのものを見ればよいです(低負荷時のみエンジンが駆動部と直結する)。こう見るとオデッセイの方が若干有利。ただ、この手の車で高回転まで回すことはあまりないので、体感は似たようなものでしょう。

燃費はハイブリッドのオデッセイの方が良いです。

最後に足回り。

足回り比較:ホンダ オデッセイとメルセデス・ベンツ GLB

 メルセデス・ベンツ GLB 200d 4Maticホンダ オデッセイ e:HEV アブソルート・EX
サスペンション形式(前)マクファーソン・ストラットマクファーソン・ストラット
サスペンション形式(後)マルチリンク車軸式
ブレーキ(前)ベンチレーテッドディスクベンチレーテッドディスク
ブレーキ(後)ディスクディスク
タイヤ(前)235 / 50 R19(AMGライン)225 / 50 R18 95V
タイヤ(後)235 / 50 R19(AMGライン)225 / 50 R18 95V
駆動方式AWD(4輪駆動)FF

GLBの4輪駆動に対してオデッセイはFF。オデッセイのリアサスペンションは車軸式。とはいってもオデッセイの「車軸式」はトーションビーム式のようです(一応独立懸架になっている)。ホンダのミニバンの売りである低床化のためにスペースが取れず、この方式を採用しているのだそうです。

ホンダ オデッセイのエクステリア

マイナーチェンジでだいぶお化粧されました。最近のクリーンなホンダのデザインとはずいぶん違いますね。試乗車はホワイトのボディカラーに黒いホイール。精悍でなかなかかっこよかったです。

ホンダ オデッセイ(2022年生産終了モデル)
ホンダ オデッセイ(2022年9月生産終了モデル)

ホンダ オデッセイ:インテリア

わりと頑張っている感じで、エアコンパネルもおしゃれな印象でした。木目調のダッシュボードも悪くない印象。ステアリングホイールの革の触感も良い感じ。

ホンダ オデッセイ:運転席に乗り込んでみると

着座位置はミニバンの割に低めで、バスの運転手、みたいな感覚ではありません。これは好印象。テレスコピックの調整幅もあり、シートポジションは合わせやすいです。

Aピラーはかなり前方に張り出していて、三角窓も大きいため、左斜め前の視界は良かったです。

ホンダ オデッセイのコックピット

GLBは:ストレスのない着座位置と前方視界。ただ、左斜め前はドアミラーの位置の影響でやや死角が大きい。ボンネットがそれなりに高いため、左斜め前全体に死角が大きい。

ホンダ オデッセイの運転フィール

パワートレーンの印象

ハイブリッドはエンジンは発電、走行はモーターの方式。ただし高速道路など、エンジンの負荷の低い領域はエンジン直結で走るタイプです。

ハイブリッド静かだなぁ。加速感はモーターらしく滑らか。が、けっこう出力の出方は暴力的ではなく穏やか。

エンジンがかかると途端に騒がしくなります。

エンジン停止時が静かな分だけ、エンジンが回っている時との落差が大きく、またエンジンの音質もさして良くないので個人的には気になりました。また、充電中は「ボーッ」という音がしていて、これもあまり心地よくない。また、エンジンが回っていないときはエアコンの作動音がかなり大きく感じられました。

エンジンが回っていないときはパワートレーン周りが静かなため、他の音が結構気になってしまう。またエンジンがかかった時にその落差が気になってしまう。

ハイブリッドはこのあたりの音対策が課題だなと思いました。

GLBは:必要な時に、ちょうどいいくらいの出力。ターボのブーストの段付きも感じさせずに4000回転超までするっと回る。トルクの出方が絶妙でコントロールしやすく、むしろこれくらいパワーは控えめの方が、長時間乗ったときに疲れない。ターボはレスポンスが良い。「安全に疲れずに遠くまで走れる」特性といえる

運転フィール

走りのミニバンというだけあって、比較的身軽ではあります。確かに、サスペンションは固めで、十分な動力性能があることもあり、スポーティかも、と思える部分もあります。ミニバンの割に低い全高と、低床プラットフォームの効果は十分あるように思いました。走行フィールについては、ミニバンのパッケージングのネガをうまく消しているように思いました。

直進安定性も良いと聞いていましたが、これはハンドルのセンター付近の操舵反力を強めにして、ハンドルを切りにくくしていることも影響している模様。中央付近だけ戻ろうとする力が強すぎ、そこから先はぐにゅっとしたゴムのようなフィールで曲がるので、けっこう人工的な感じがしました。個人的にはあまり好きでないタイプ。

ほぼ同時に乗ったホンダ CR-Vのステアリングフィールは非常に上質で操舵反力に違和感もなかったので、ちょっとこの違いは気になりました。一言で言ってCR-Vの方がステアリング機構にお金がかかっている。(CR-Vはデュアルピニオン式で、明確にその良さが出ていました)

ロードノイズは特にボディ後部から侵入してくるようで、それなりにうるさい。かつ後ろの硬めのサスペンションからの縦方向にも横方向にも揺すられるような振動があり、特に後席の乗り心地はあまり良くなさそうでした。良い路面ではフラットですが、荒れた路面だと前後ともに少しバタバタしていました。低床を実現するためにリアサスペンションはホンダでいう「車軸式」、実態はトーションビーム。これは広い空間と引き換えに乗り心地の悪さにつながっている感じは否めませんでした。

やはり開口部の広く重心も高いミニバンなので、どうしても操縦安定性のためにサスペンションを固くしなくてはならず、条件の悪い路面では乗り心地が急に悪くなるようでした。

総額500万円を超えるモデルの走りの質感としてはちょっと厳しいかな、というのは率直な印象。

GLBは:革の触感は良い。ステアリングはクイック。フィードバックはしっかりあり、アナログな感触が残っている。ステアリング中央付近の遊びは小さく、ファミリーカーとは思えない部類。たっぷりとしたストロークとコシのあるダンパー。電子制御ダンパーを装着していないこともあり、比較的あっさりしていて高級感はあまりない。ステアリングを切ってからの車の動きは「ああ、メルセデス・ベンツだなぁ」というもの。穏やかで動きに破綻が一切ない。安心感の固まり。全体に揺れ、振動が少ない。段差を乗り越えたときの収束が速い。座席の作りもよく、上半身が安定する。室内はわりと静か。特にロードノイズの侵入が少ない。

ホンダ オデッセイの後席への乗り込み

2列目以降への乗り込みはスライドドアから。ミニバンのスライドドアはやはり使い勝手が良いですね。特に子供が小さい時には外せない条件と思います。

このオデッセイには日本初採用のジェスチャー・コントロール・パワースライドドアがついています。手を近づけるとセンサー部が青く光ります。そこで手を動かすとドアが開く(アクセスキーを持っていればかざすだけで開く)というもの。なかなか未来的で面白い試みだと思います。

ホンダ オデッセイのジェスチャー・コントロール・パワースライドドア

ホンダは低床なので広々な上に乗り込みが非常に楽なのもポイント。うちには足の弱い母がいるので、これはかなりいいなと思いました。

ホンダ オデッセイの2列目シート

さすがミニバン、広々。特に7人乗りの場合、2列目が本当に広々していて、抗えない魅力がありました。しかもEXにはオットマンや中折れ式のリクライニングまであり、目がくらみそう。5人家族でも2列目はこの独立型シートを選んでしまいそう。

足元の空間も広いです。

やはり、ミニバンは室内空間が広く、使い勝手もよい。それと引き換えに乗り心地と走行性能は犠牲になる。そのあたりが非常に悩ましいですね。

ホンダ オデッセイのインテリア

GLBは:足元空間はそこそこあるが、座面長がやや短い。乗り心地は硬めだがよい。特に縦方向、横方向、前後方向の揺れが少なく、収束も速い。酔いにくさにつながっていると思われる。

ホンダ オデッセイの3列目シート

ホンダのミニバンの3列目は、床にしまい込める点が売り。その分シートが薄く、長時間乗車にはつらいところ。

ただ、3列目の真ん中に座ると、7人乗り仕様の場合は前を遮るものがないため、非常に視界が良い。もしかするとこのポジションも特等席になるかも、と思いました。

また、2列目で十分な足元空間を作っても3列目の足元も広い。しかも荷室もある程度確保されていて、やはりパッケージングについては素晴らしいと感じました。

ドリンクホルダーの位置なども、やはり使いやすく、ユーティリティを考えるとSUVはミニバンにはかなわない、というのははっきりとわかります。

3列目のたたみ方は、ぜひ試してほしいです。本当に簡単に床下収納ができて、これだけでも興奮モノでした。

ホンダ オデッセイの荷室。3列目使用状態
ホンダ オデッセイの荷室。3列目格納状態

3列目の安全性について

このユーティリティはやっぱりいいなぁと思っていたところに営業の方から気になる発言が。「正直8人乗りはお勧めしません、ついでにいうと3列目はニーズがあるから作っているものの、メーカーとしては安全が確保できないので使用をオススメしたくないのが本音です」

実際に国内における後方衝突安全性試験では「日本の保安基準では50㎞/hでの衝突安全性」を規定いるようですが、よく読むと1.1tの台車に100%オフセットでぶつけられて燃料漏れを起こさない、というレベルです。最近の車で1.1tって。。

アメリカでは70%オフセット、80㎞/hでの後方衝突安全性試験をパスする必要があり、メルセデス・ベンツ GLBやマツダ CX-8などはこの基準をクリアしています。

我が家では今回のミニバン(日産セレナ(C26))からの乗り換えのきっかけは、「安全性」に対する不安だったため、これは大きなポイント。

GLBは:アクセスはやや大変だが、しっかりと作られている。世界一厳しいアメリカの後方衝突試験をクリアしていて、安全性にも抜かりがない。オプションのスライディングパノラミックルーフを装着すると、前方の圧迫感もかなり軽減される。

ホンダ オデッセイの良いと思った点

何といっても居住空間。特に2列目シートは大変魅力。3列シートも十分な足元空間があり、さらにそれでも荷室空間が確保されていること。

ホンダ オデッセイの気になった点

ひとつはミニバンだということ。これはオデッセイが悪いのではなく、我が家ができればミニバンを卒業したかった、というだけの理由によるものです。

一番は3列目シートの安全性ですかね。営業の方に「乗らないでくれ」と力説されたのはちょっとこたえましたね。

運転感覚も若干私の好みと違ったのと、2列目以降の振動・騒音が気になったという点もマイナスになりました。

メーカーホームページ(生産終了モデル)はこちら

メーカーホームページ(先行情報)はこちら


我が家の車選びの条件と、メルセデス・ベンツ GLBを含め購入候補を選ぶ過程についてはこちら

ライバル車比較(1)マツダ CX-8の試乗レビューはこちら

ライバル車比較(2)プジョー 5008の試乗レビューはこちら

ライバル車比較(4)日産 セレナ(C28)の試乗レビューはこちら

最終的に決めた車、メルセデス・ベンツ GLBについては下記にまとめています。

メルセデス・ベンツ GLBの魅力は?我が家の車に決めた理由を読む

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